このセミナーシリーズは、ダイキン工業と東南アジア地域研究研究所(CSEAS)との産学共同研究プロジェクトの一環として開催しています。
報告者: 田中 直(適正技術フォーラム共同代表)
タイトル: 適正技術とユニバーサル・コープ -インドネシアにおける、民主的かつ主流足りうる事業体創生の試み-
言語: 日本語
参加申し込み: 不要
要旨:
これまでの、際限なく経済成長を求め続ける社会のあり方が、遠からず行き詰まるであろうことは多くの人々が論じ、また実感しているところだと思います。それに代わる社会のあり方が切に求められていますが、代替的社会を構築するに当たり、そこにおける生産活動がどのような事業体によって担われるのか、ということは、核心的に重要な問いです。
ところが、資本主義的企業に代わる事業体のあり方が積極的に提起されることはまれで、関連する議論もはなはだ限定的です。発表者は、長年、アジア地域における適正技術の開発と普及に携わってきたのですが、本当に私たちの社会を持続可能なものに転換していくためには、技術の問題とともに経済システムの問題、とりわけ代替的な事業体の形成に取り組む必要があると気付き、〈ユニバーサル・コープ〉という革新的な原理を持った協同組合を構想・提案しています。民主的運営を維持しつつ、出資も呼び込むことができて、産業界の生産活動を主流的に担いうる原理をもつ事業体を創生しようとするものです。そして、仲間とともに2023年にインドネシアで実際にそれを設立して、運営を続けています。今回は、その構想の背景や原理、実践と展望についてお話しさせていただきます。
参考文献:田中直『現代適正技術論序説-近代科学技術に代わる技術体系をめぐって』社会評論社、2022年(補論部分で〈ユニバーサル・コープ〉を論じています)
![](https://kyoto.cseas.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2024/12/tanaka.jpg)
略歴:
適正技術フォーラム共同代表。ユニバーサル・コープ型協同組合PUSTEKLIM統括マネージャー。1976年、東京大学工学部卒業後、石油会社で石油精製プロセス管理、廃プラスチック再生加工、バイオテクノロジー、排水処理などの業務に従事する一方、1987年の設立当初から35年間(1999年より専従)、国際協力NGO、APEX代表・代表理事を務める。理学博士。
著書に『適正技術と代替社会-インドネシアでの実践から』(岩波新書)、『現代適正技術論序説-近代科学技術に代わる技術体系をめぐって』(社会評論社)、編著書に『転換期の技術者たち』、『第三世界の問題を考える』(以上、剄草書房)、『エネルギー問題-工業化社会の自然と労働』(社会評論社)など。
主催: 岡本正明、小林知(CSEAS)、岸健太(秋田公立美術大学)、粟飯原大、内山三晴(ダイキン工業)
問い合わせ: chika128[at]cseas.kyoto-u.ac.jp(担当:山田千佳)
※どなたでも歓迎ですのでお気軽にご参加ください。