小林 知 | 東南アジア地域研究研究所

小林 知

職名: 准教授

MAIL: kobasa [at] cseas.kyoto-u.ac.jp

研究部門

相関地域研究部門

専門分野

地域研究、人類学

研究関心

生業・生活のレジリアンスにおける多様性の役割
「行い」からみた東南アジアの宗教信仰の場所の類型学
ポスト紛争社会における公共圏の創出




    研究者としての最初の関心は、社会革命を目指した近代的な国家権力とコミュニティ・個人の生活の影響関係を探ることにあった。フィールドとしては、1970年代以来長らく紛争状態にあったため研究の蓄積が少なかったカンボジアを選び、1990年代末にフィールドワークを開始した。当時の主要な研究テーマは、極端に全体主義的な支配を敷き、新しい社会建設を目指したポル・ポト政権期とその後の復興期のコミュニティレベルの社会動態を、事例にもとづいて解明することだった。その後は、国家権力からの干渉だけでなく、近代化・グローバル化といったよりマクロな社会・地域全体の変化の潮流が生みだす脆弱性に対して、コミュニティや個人がどのような対応を生みだしているのかを、生業と宗教の両領域において調査研究をしている。

    生業について、最近数年間は、日本人とカンボジア人による共同研究をカンボジア農村において実施してきた。特に、多就労形態であり、生存維持的で、周囲の生態資源を利用してきた伝統的な生業の形を、状況の変化に即して人々がどう変化させようとしているのかを追っている。宗教については、カンボジアの人々の大多数が信仰する上座仏教について、地域情報学的な分析方法を取り入れた研究を行ってきた。特に、カンボジアの男性による出家行動の変化に関しては、農村で実施した定量的調査の成果をもとに成果を公開した。今後は、精霊信仰にも関心を拡げ、農村地域における宗教と社会の変化についてより包括的な分析を行いたい。さらに、カンボジアのような紛争後の社会の再編において、誰がどのように持続的で公平な開発と発展を主張するのかという課題を通じて、東南アジア的な公共圏の創出の可能性についても腰を据えて考えたい。

  • Kobayashi Satoru. 2018. “Diversity and Vulnerability: Do recent changes cause a loss of resilience of rural livelihoods in Cambodia?” A paper presented at the international conference “Southeast Asian Studies in Asia 2017”, held at Chulalongkorn University, Thailand on December 18, 2017.
  • Kobayashi Satoru, Hayashi Yukio, Sasagawa Hideo, Takahashi Miwa eds. 2017. Mapping Buddhist Cultures among Theravadin in Time and Splace. Center for Integrated Area Studies, Kyoto University: Phnom Penh, Cambodia.
  • 小林知. 2017. 「重なり合う村落と都市」『東南アジア地域研究入門2 社会』山本信人監修・宮原曉編、慶応大学出版会.
  • 小林知. 2013. 「カンボジア農村における仏教施設の種類と形成過程」『東南アジア研究』51(1).
  • 小林知. 2011.『カンボジア村落世界の再生』(地域研究叢書23)京都大学学術出版会.

  • 科学研究費補助金「変容する生業とコネクティビティからみたカンボジア農村社会の生存基盤に関する研究」(基盤B、海外学術、2015-2017、代表者)
  • 科学研究費補助金「カンボジア仏教の再生と変容に関する総合的研究: ヒト・モノ・カネの移動と制度の再編」(若手B、2009-12、代表者)
  • 科学研究費補助金「東南アジアにおける社会革命と社会的結合の変化・持続: カンボジア農村を中心として」(若手研究スタートアップ、2007-8、代表者)
  • Grants-in-Aid for Scientific Research “Exploring Sustainable Humanosphere in Rural Cambodia through Interdisciplinary Research on Changing Connectivity and Livelihoods” (Scientific Research B, 2015-2017, Principal researcher)
  • Grants-in-Aid for Scientific Research “A Comprehensive Study of Rebirth and Transformation of Cambodian Buddhism: Flows of Specialists, Objects, and Money and Reformations of religious policies” (Young Scientists B, 2009-2012, Principal researcher)
  • Grants-in-Aid for Scientific Research “Impact of Social Revolution toward Changes and Persistence of Social Bonds: A Case Study in the post-socialist rural Cambodia” (Young Scientists for Start-up, 2007-2008, Principal researcher)