2024年12月20日、ブータン国タシガン県にて、赤松芳郎特定助教らが現地大学や住民とともに設立準備を進めてきたバルツァム・コミュニティ・ミュージアムが開館しました。
バルツァム・コミュニティ・ミュージアムは、本研究所が進めるJICA草の根技術協力事業「ブータン国東部タシガン県における大学社会連携による地域づくりに関する人材育成開発支援(草の根パートナー型)」(代表:坂本龍太准教授)の一環として、ブータン王立大学シェラブツェ・カレッジと現地住民の協力のもとに設立準備が進められてきました。
ミュージアム開館の模様は、ブータン国営放送BBSや全国紙Kuenselで大きく取り上げられました。
- 「Community museum opens to showcase traditional artefacts in Bartsham Gewog」、BBS、2024年12月24日。
- 「Bartsham’s community museum opens to preserve heritage and culture」、Kuensel、2024年12月21日。
研究者のコメント
多くの関係者の支援のもと無事開館の日を迎えることができました。来館後、自宅で埃をかぶっていた民具を寄贈するためミュージアムや郡役場を訪れてくれる住民も多くいます。今後は現地の研究や教育、そして地域づくりの一拠点として地域のミュージアムをどのように活用していけるか住民と立ち上げたミュージアム運営委員会を中心に現地大学や県とも協議を進めながら引き続き地域研究をおこなっていければと思います。(赤松)
ブータンではパロやトンサに国立の博物館があるものの、よりローカルなコミュニティの歴史や文化を継承するような博物館、資料館が乏しいと感じていました。2012年9月に京都の美山民俗資料館を訪れた当時ブータン王立大学総長だったペマ・ティンレイさんが、「ブータンにも伝統が失われる前にぜひこのような資料館を作る必要がある」、「シェラブツェカレッジがその核となるべきだ」とおっしゃったことが今回のプロジェクト発足の契機の一つとなりました。様々な困難がありましたが、赤松さんを中心にそれを乗り越え、粘り強く地域の方々の信頼を勝ち取り、バルツァム地域の方々、シェラブツェカレッジの教員や学生、タシガン県関係者、京大の院生らの尽力で開館にたどり着くことができました。携わったすべての方々に心から敬意を表したいと思います。(坂本)