山田千佳准教授の講義動画「すぐにわかる「ドラッグ」をめぐる社会運動:地域研究で読み解くインドネシアのハーム・リダクション」が公開されました。地域研究と公衆衛生を専門とする山田准教授が、学術研究の最先端を10分程度の動画でわかりやすく紹介する動画シリーズ「知の拠点【すぐわかアカデミア。】」 に登壇しました。
国立大学の研究所・研究センターは、大学の壁を越えて全国の研究者と交流する「知の拠点」を担っています。国内に78ある拠点の一つとして、本研究所は「グローバル共生に向けた東南アジア地域研究の国際共同研究拠点(Global Collaborative Research, GCR)」 に指定されています。本拠点が進める学術研究を紹介する講義として、本動画が公開されました。
内容紹介
講義の全文を読みたい方はこちら
- この動画の要点
- ハーム・リダクション(harm reduction, 害の低減)とは?
- ハーム・リダクションの実践例
- ハーム・リダクションの誕生
- 東南アジアのドラッグに関する政策の特徴
- インドネシアで出会ったハーム・リダクション
- 外来モデルの現地化:首都ジャカルタにおけるハーム・リダクションの草分け
- 独自の表現:アートを通じてドラッグ、そして様々な社会問題について表現し続ける
- 在来知の再評価:歴史を組み立て直し、ドラッグという概念自体を揺さぶる
- おわりに:地域の文脈に基づいた「ドラッグ」使用者らを中心とする実践
講師
山田 千佳(京都大学東南アジア地域研究研究所 准教授)
もっと知りたい人のために
本講義の中で紹介した文献に加えて、薬物やハーム・リダクションについてさらに学んでみたいと思われる方に。
- 佐藤哲彦・内藤準編著「特集 脱逸脱をめぐる当事者活動の社会学」『社会学評論』2020年71巻2号
- Diana S. Kim. Empires of Vice: The Rise of Opium Prohibition across Southeast Asia. (Princeton University Press)
- Kojo Koram (eds.) The War on Drugs and the Global Colour Line. (Pluto Press)
- Daniel Weimer. Seeing Drugs: Modernization, Counterinsurgency, and U.S. Narcotics Control in the Third World, 1969–1976. (Kent State University Press)
- カール・L・ハート著、松本俊彦監修、片山宗紀訳『薬物戦争の終焉 自律した大人のための薬物論』(みすず書房)
文学を通じてインドネシアの伝説、神話、寓話と暴力の歴史にふれる一冊。
インドネシアではHIV陽性の女性が承諾なしに不妊手術を受けさせられていたことが、ドラッグを使用する女性の社会運動の出発点の一つとなっていました。生殖の統制の歴史について学びたい方に。