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〈研究成果の公開〉イルカが選んだのは都市に最も近い海だった:大阪湾でイルカと人の共存の可能性を発見

2026.01.15

岩田高志 神戸大学大学院海事科学研究科助教、松本大一氏(研究当時:同研究科大学院生)、荒木陸秀 同研究科大学院生、小川真由 海洋研究開発機構特任研究員(研究当時:京都大学大学院農学研究科)、赤松友成 早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構研究院教授、および木村里子 本研究所准教授らの研究グループは、大阪湾の明石海峡周辺海域において、イルカが冬から春にかけて時々出現していることを、1年間以上にわたる受動的音響モニタリング*で明らかにしました。イルカの出現は、海苔(ノリ)養殖が行われる季節と一致しており、イルカが人間活動によって一時的に生態系が豊かになった海域を利用している可能性が高いことが分かりました。日本有数の海上交通量を誇る明石海峡において、夜間を中心にイルカが採餌をしていることもわかり、高度に都市化された海域でも、海生哺乳類と人間活動が共存しうる可能性が示されました。
本研究成果は、2026年1月12日に、学術誌「Aquatic Mammals」にオンライン掲載されました。

* 受動的音響モニタリング(Passive Acoustic Monitoring: PAM)とは、水中にハイドロフォン(マイク)を設置し、イルカなど海洋生物の音や船舶の人工音を記録する調査手法のこと。

イラスト:きのしたちひろ

共著者によるコメント

大阪湾にイルカが生息していることは、私たち海洋生物の研究者にとって必ずしも驚くべきことではありません。しかし、1,000万人以上の生活圏を支える高度に都市化された内湾において、イルカが実際に来遊しているという事実は、一般にはほとんど知られていませんでした。本研究では、神戸大学および早稲田大学との共同研究により、大阪湾においてハセイルカの鳴音を音響的に検出し、その来遊を科学的に示すことができました。

イルカの出現は、海苔養殖が行われる冬から春の季節と一致しており、摂餌の際に発せられる鳴音も確認されました。本研究の成果は、大阪湾が人間活動と海洋生態系が共存しうる「里海」となり得る可能性を示すものです。今後も、沿岸に生息し人間活動の影響を大きく受ける海棲哺乳類の生態を明らかにするとともに、人と野生動物のより良い関係の構築に資する研究を継続していきたいと考えています。(木村里子

出版情報

タイトル A Possible Example of the Coexistence of Dolphins and Marine Economic Activity in Osaka Bay, Japan
著者名Takashi Iwata, Taichi Matsumoto, Mayu I. Ogawa, Tomonari Akamatsu, Takahide Araki, and Satoko S. Kimura
掲載誌Aquatic Mammals
DOI10.1578/AM.52.1.2026.1

研究者情報

木村里子 京都大学教育研究活動データベース

関連情報

京都大学東南アジア地域研究研究所「グローバル共生に向けた東南アジア地域研究の国際共同拠点」共同研究(R7-8 5-1)

本研究成果について、より詳しくは下記のリンク先をご覧ください。