広崎 真弓

部門・職位
環境共生研究部門
連携助教
研究分野/キーワード
ポシティブ感情と健康との関連

広崎 真弓

ポシティブ感情と健康との関連

これまで、健康に影響を及ぼす心理的要因として、うつやストレスなどネガティブな感情が研究され、疾病や死亡の危険因子になると報告されてきた。疫学研究において、うつ症状は主に、ネガティブ感情の有無とポジティブ感情の有無の両方をたずねる質問紙によって評価されている。ところが、近年うつ症状の中でもネガティブ感情が多いということより、ポジティブ感情が少ないということが健康状態に影響を及ぼす要因ではないかと指摘され、ポジティブ感情の重要性が注目されつつある。特に高齢者において、ポジティブ感情が少ないことが、その後のADLの低下や疾病、死亡の危険因子となることが欧米諸国で報告されているが、我が国においてポジティブ感情に注目した検討はまだ少ない。そこで、地域在住高齢者を対象に、ポジティブ感情の有無と健康状態との関連について質問紙調査による検討を行うとともに、ポジティブ感情を高める介入を行い、その予防医学的効果を検証する。具体的な介入方法として、インドを発祥とする笑いヨガ(笑い声を出すエクササイズのようなもの)を用いた健康教室を実施し、心理的・身体的効果(気分や睡眠状況、体重・腹囲・血圧・ヘモグロビンA1cなど)の検討を行う。これにより、高齢化が急速に進む現代社会において、楽しむことを重視した新たな健康教室の形を提案できる可能性がある。また、笑いヨガは、特別な道具やスキルを必要とせずに誰もが簡単にできるため、普及のしやすさという点からも優れていると考えられる。