和田 泰三

部門・職位
環境共生研究部門
連携准教授
専門
公衆衛生学、健康科学、医療社会学
研究分野/キーワード
・高齢者終末期ケアと事前指示の実態に関する縦断的検討
・西ニューギニア地域の神経変性疾患の実態

和田 泰三

高齢者終末期ケアと事前指示の実態に関する縦断的検討

人口高齢化にともなったアルツハイマー型認知症患者などの増加は、家族にとって大きな介護負担となっているが、症状が進行したときは本人の意志が確認できないまま、栄養方法や医療ケアの方針が決定されているのが現状である。本邦において変性性認知症末期の経管栄養の是非など倫理的問題に対する国民的コンセンサスはまだない。事前指示書(終末期医療にむけての要望書)を作成するなど、終末期を見据えて主体的に方針をきめようという意志をもつ高齢者は健康度が高い可能性がある。また、自身の価値観を反映した事前指示書を作成することや、作成する際に家族間でコミュニケーションを図ることによって、本人の終末期QOL向上のみならず、介護者の心理的負担が軽減できる可能性がある。

西ニューギニア地域の神経変性疾患の実態

インドネシア・パプア州(西ニューギニア地域)のバデ近郊の村において、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの神経変性疾患が1960年台多発していた。1990年台にはいったん消失したとされたが、2007年より継続的に調査を行った結果、減少しているものの多発していることが判明した。ALSとパーキンソニズムの症状が同一患者で重複しており、認知症の合併と家族内発症も認めた点は、紀伊やグアムのALS/PDCと酷似しており、この3地域の疾患は同一疾患である可能性が非常に高まった。 パプア州では生活の近代化が浸透してきており、時代的な環境変化と高齢化に伴うALSとパーキンソン症候群の病型の変遷が、この地域でも来たしている可能性が有る。