国家、民族そしてそれらの境界は、自然地理的な基盤に規定されつつも、畢竟、人の移動によって形成されると言って良い。人口センサスに基づく詳密な事例研究によって、島嶼部東南アジアの特徴──「多民族性」──が、植民と近代化の中で急速に形成される様相を明らかにする。名著『小人口世界の人口誌』を発展させた、人口誌の集大成。
目次
はしがき
序章 年次報告書という宝庫
第1部 マレー半島の開発と移民
第1章 海峡植民地と移民
1 海峡植民地の形成
2 中継貿易港としての海峡植民地
3 海峡植民地を介した人の動き
4 華人およびインド人移民の動向
5 海峡植民地の位置づけ
第2章 錫とゴム
1 人口移動の契機
2 錫鉱業の発展と変容
3 ゴムの導入とゴム園労働の展開
第2部 開発先進地域と多民族化
第3章 マラヤ諸州の多民族社会形成㈵ スランゴールとペラ
1 初期人口状況
2 センサス人口の民族別構成
3 年次報告書と推計人口
4 出生と死亡
5 移民と出入者統計
6 労働力の輸入
7 社会増減・自然増減と人口
8 自然増の評価
第4章 マラヤ諸州の多民族社会形成㈼ パハンとジョホール
1 後発地域としての性格
2 推計人口
3 出生と死亡
4 移民と出入者統計
5 人口動態の趨勢
第5章 病気との闘い I スランゴールとペラ
1 熱帯環境と死亡
2 脚気
3 マラリア
4 肺結核
5 赤痢と下痢
6 疱瘡とコレラ
7 性病
8 その他の病気
9 乳児死亡率
10 民族別に見た死亡率
11 死亡に関する暫定的結論
第6章 病気との闘い Ⅱ パハンとジョホール
1 確認のための観察
2 脚気
3 マラリア
4 肺結核
5 赤痢と下痢
6 疱瘡とコレラ
7 性病
8 その他の死亡原因
9 乳児死亡率
10 病院に対する態度
11 先進地域観察の再確認および微妙な差異の指摘
第3部 マレー人が多数を占めた地域の変化──クランタンとケダー
第7章 クランタンにおける多民族化
1 開発が遅れた非連邦州
2 クランタンの人口と生業
3 インド人労働者
4 華人労働者
5 マレー人労働者
6 未完の多民族社会としてのクランタン
第8章 クランタンにおける開発と疾病
1 伝統的流行病と開発にともなう疾病
2 脚気
3 マラリア
4 鈎虫症など
5 性病
6 他の疾病
7 病院
8 死亡率
9 エステートの衛生
10 一般住民の健康と医療
第9章 ケダーの開発と多民族化
1 米作地としての発展
2 稲作とゴム栽培
3 人口
4 出生と死亡
5 移民と労働力
6 ケダーの周辺性
第10章 ケダーにおける開発と疾病
1 古い病気と新しい病気
2 コレラと疱瘡
3 マラリア
4 その他の疾病
5 医療事情と健康状況
6 民族別死亡率
第4部 開発と多民族化過程
第11章 トレンガヌに関するメモ──未開発をめぐって
1 開発からの隔離
2 開発と移民
3 病気、医療、人口
4 最後尾の歩み
終章 総括的エッセイ
文献
巻末付表
あとがき
索引
