Kyoto CSEAS Series on Asian Studies(英文)

Migration RevolutionPhilippine Nationhood & Class Relations in a Globalized Age

Filomeno V. Aguilar Jr.
May 2014
NUS Press & Kyoto University Press

「global nomad」(世界をまたにかけた労働移動)こそ、21世紀の東南アジアの「国民国家」のありようを根本的に変える原動力だ。いわゆる「出稼ぎ労働」は、かつてのイメージとはほど遠く、高等教育を受けた若者があえて故郷を飛び出し、費用面での比較優位を活かして世界中で活躍する、といった側面を持つようにさえなった。彼らノマドは、移住先では故国民を「代表」し、故郷に帰れば「世界」の象徴となるといった具合に、あちこちのローカルアイデンティティに影響を与える。1960年代以降、移住・移民が国民の日常となり、それによって国家意識や社会構造が大きく変化したフィリピンを主な舞台に、人口移動の国際的な革命性を描き出す佳作。