ロヒンギャ危機 | 京都大学 東南アジア地域研究研究所

ロヒンギャ危機「民族浄化」の真相

中西嘉宏 著
中公新書、2021年1月
272頁 ISBN: 978-4-12-102629-3

内容紹介

ロヒンギャは、ミャンマー西部に住むイスラーム系民族のひとつだ。軍事政権下、国籍が与えられないなど長く差別されてきた。2017年の国軍による掃討作戦以降、大量の難民が発生し、現在100万人が隣国のキャンプで暮らす。民主化運動の指導者アウンサンスーチーはなぜ「虐殺」を否定するのか。本書は、複雑な歴史的背景やミャンマーをめぐる国内・国際政治を通し、アジア最大の人道・人権問題の全貌を示す。(出版社HPより)

目次

はしがき

序章 難民危機の発生

第1章 国民の他者──ラカインのムスリムはなぜ無国籍になったのか
 1 大英帝国の辺境で形成された国家 
 2 ナショナリズムの排他性 
 3 日本軍政下での紛争勃発 
 4 独立とロヒンギャの「誕生」

第2章 国家による排除──軍事政権下の弾圧と難民流出
 1 二つの軍事政権 
 2 タインインダー(土着民族)と国籍法改正 
 3 難民流出による国際問題化 
 4 国家安全保障とロヒンギャ 
 5 ラカイン人とロヒンギャ

第3章 民主化の罠──自由がもたらした宗教対立
 1 軍事政権の終焉 
 2 民主主義のダークサイド 
 3 自由の代償

第4章 襲撃と掃討作戦──いったい何が起きたのか
 1 ロヒンギャ武装勢力の変容 
 2 二〇一七年八月二五日 
 3 何が起きたのか 
 4 掃討作戦の実態

第5章 ジェノサイド疑惑の国際政治──ミャンマー包囲網の形成とその限界
 1 アウンサンスーチー、法廷に立つ 
 2 ミャンマー包囲網と日本・中国 
 3 ジェノサイド疑惑の国際政治

終章 危機の行方、日本の役割
 1 難民帰還を阻む要因は何か 
 2 日本の役割を考える 
 3 おわりに

あとがき

主要参考文献
関連年表

著者情報

中西嘉宏

関連情報

中西嘉宏 准教授が第16回樫山純三賞を受賞しました。(2021.10.01)
中西嘉宏 准教授が第33回アジア・太平洋賞特別賞を受賞しました。(2021.10.08)
中西嘉宏 准教授が第43回サントリー学芸賞を受賞しました。(2021.11.12)
『京都新聞』に中西嘉宏准教授の著作『ロヒンギャ危機』が取り上げられ、インタビューが掲載されました。(2022.02.22)

web中公新書「著者に聞く【トリプル受賞記念】『ロヒンギャ危機』/中西嘉宏インタビュー」(2022.01.20)