内容紹介
ロヒンギャは、ミャンマー西部に住むイスラーム系民族のひとつだ。軍事政権下、国籍が与えられないなど長く差別されてきた。2017年の国軍による掃討作戦以降、大量の難民が発生し、現在100万人が隣国のキャンプで暮らす。民主化運動の指導者アウンサンスーチーはなぜ「虐殺」を否定するのか。本書は、複雑な歴史的背景やミャンマーをめぐる国内・国際政治を通し、アジア最大の人道・人権問題の全貌を示す。(出版社HPより)
目次
はしがき
序章 難民危機の発生
第1章 国民の他者──ラカインのムスリムはなぜ無国籍になったのか
1 大英帝国の辺境で形成された国家
2 ナショナリズムの排他性
3 日本軍政下での紛争勃発
4 独立とロヒンギャの「誕生」
第2章 国家による排除──軍事政権下の弾圧と難民流出
1 二つの軍事政権
2 タインインダー(土着民族)と国籍法改正
3 難民流出による国際問題化
4 国家安全保障とロヒンギャ
5 ラカイン人とロヒンギャ
第3章 民主化の罠──自由がもたらした宗教対立
1 軍事政権の終焉
2 民主主義のダークサイド
3 自由の代償
第4章 襲撃と掃討作戦──いったい何が起きたのか
1 ロヒンギャ武装勢力の変容
2 二〇一七年八月二五日
3 何が起きたのか
4 掃討作戦の実態
第5章 ジェノサイド疑惑の国際政治──ミャンマー包囲網の形成とその限界
1 アウンサンスーチー、法廷に立つ
2 ミャンマー包囲網と日本・中国
3 ジェノサイド疑惑の国際政治
終章 危機の行方、日本の役割
1 難民帰還を阻む要因は何か
2 日本の役割を考える
3 おわりに
あとがき
主要参考文献
関連年表
著者情報
関連情報
中西嘉宏 准教授が第16回樫山純三賞を受賞しました。(2021.10.01)
中西嘉宏 准教授が第33回アジア・太平洋賞特別賞を受賞しました。(2021.10.08)
中西嘉宏 准教授が第43回サントリー学芸賞を受賞しました。(2021.11.12)
『京都新聞』に中西嘉宏准教授の著作『ロヒンギャ危機』が取り上げられ、インタビューが掲載されました。(2022.02.22)