災害対応の地域研究

出版社
京都大学学術出版会
創刊年
2014
言語
日本語
「災害対応の地域研究」プロジェクトは、地域研究、防災、人道支援、情報学などの分野の異なる専門家が共同で研究を行うことにより、「メディアと情報」「支援と復興」「社会の再編」「記憶と忘却」の4つの分野で災害対応に取り組む研究プロジェクトです。

研究対象地域を時間と空間の広がりの中に置いて立体的に捉える地域研究の方法を取り入れることで、被災後だけ、そして被災地だけを見るのとは違う防災や人道支援のあり方を提示します。また、社会が潜在的に抱える課題がはっきりと現れる契機である災害への対応過程の検討により、地域社会に対する理解がいっそう深まります。

インドネシアのスマトラ島では、2004年12月にスマトラ沖地震津波(インド洋津波)が発生し、約16万5000人(インド洋沿岸諸国で約22万人)の死者・行方不明者が出る大きな被害を受けました。また、スマトラ(インドネシア)ではその後も毎年のように地震や津波などの災害が起こっています。この研究プロジェクトでは、地域社会の目を通じてスマトラの災害対応を捉えることにより、スマトラの地域社会が災害にどのように対応してきたかを検討し、それをもとに他の地域にも通用する「防災スマトラ・モデル」の構築を試みます。

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、地震と津波の被害が広域に及んでいる点でスマトラ沖地震津波と共通する点が多くあります。東日本大震災の復興過程をスマトラの経験に照らして検討することにより、スマトラの災害対応への理解を深めるとともに、スマトラの経験を踏まえて日本の復興過程に対して必要な提案を行っていきます。

このプロジェクトは、科学研究費補助金・基盤(A)「災害対応の地域研究の創出──「防災スマトラ・モデル」の構築とその実践的活用」(代表:山本博之)を中心に、京都大学地域研究統合情報センターの「災害対応の地域研究」プロジェクトおよび関連する他の研究プロジェクトとの連携により進められています。