相関地域研究

出版社
青弓社
創刊年
2015
言語
日本語
京都大学地域研究統合情報センターは、地域研究と情報学との学際的融合をはかる試みに挑戦しつつ、「地域情報学」と「相関地域研究」を二つの柱とした国際的な共同研究を進めてきました。そのうちのひとつのミッション「相関地域研究」を冠した3巻シリーズを青弓社から刊行しました。

21世紀の地域とは、連動し、影響しあい、それゆえ容易に変化する空間です。こうした急激に変化する地域を理解するためには、各地域の特性を明らかにするとともに、その地域がある種のアイデンティティを持ち得ていることを捉え、同時に、連鎖する複数地域とともに、世界においていかなる役割と意味をもっているのかについて、比較と関係性という二つのキーワードを用いて研究を試みるのが「相関地域研究」の手法のひとつです。

また、いかなる地域も、歴史的淵源の延長線上に存在しており、それゆえ複数地域のあり方も時代とともに変容する可能性があるわけです。こうした時代と地域との相関関係は、アジア域内といえども、それぞれの地域によって相当に異なっていることはもっと留意されてよいと思います。しかし、地域間で、なにが、どのように違うのか、その原因は何なのか、将来どのように変化していくのか、そのためにどのような関係を構築すべきなのか、多くの見解は提示されますが、それらの疑問が明確に答えられることはありませんでした。こうした疑問に答えるためには、地域を比較することでみえてくることがあるはずです。21世紀に生きるわたしたちは、これまでの時代との関係性のなかで、今後どのように生きていけばよいのか、いかなる選択肢が可能なのか、そうした問題を考えることも「相関地域研究」の課題のひとつといえます。

地域を比較し、その関係性を明らかにするという営為は、じつに多くの興味や好奇心、ときには意図しなかった驚きや発見をもたらしてくれます。ひとりでも多くの方が、本シリーズによってこうした営為の仲間入りをしてくださることを願ってやみません。