東南アジアの熱帯多雨林は、数ヘクタールの限られた面積の中に数百種の樹木が共存する。これはせいぜい数十種が出現する温帯林と比べて際立った多様性であり、そのメカニズムの解明は重要な研究課題として残されている。本研究は、マレーシアとインドネシアの熱帯多雨林の長期観測データを用いて、樹種間の現存量や一次生産速度の違いを解析して、樹種多様性の構造を明らかにする。また、種間競争の力学系モデルのパラメータを推定し、多種の共存と排除のメカニズムを数理モデルを用いて検証する。本研究による知見は、東南アジア熱帯林の生態系サービスの持続的管理に貢献する。

マレーシア熱帯林の生産速度の種間変異は種の現存量と関係する