松岡 佐知

松岡 佐知
部門・職位
環境共生研究部門
機関研究員
専門
医療人類学、人類生態学、南アジア地域研究
研究分野/キーワード
地域医療、非制度的医療、社会福祉、身体知、宗教実践、医療多元性、ケーララ、南インド

松岡 佐知

病院薬剤師や国際保健の現場などを経て、公的制度からもれてしまう人や、いわゆる「医療」では治療が困難な人にとっても、それぞれがのぞむ生老病死のありかたに近接できる社会の実現に貢献できないかと考えて研究活動を開始。医療人類学をベースにした学際的な研究で、質的・量的なデータを扱う。

地域社会にとっての医療、社会福祉、宗教実践

多様な医療システムが併存する南インドを事例に、医療や福祉制度の外にある地域に紐づいた社会・文化的な実践に着目し、それらと公的制度によって整えられている医療・福祉資源との関係性について研究することで、多様な人々の生老病死に関わるニーズに応えうる社会システムについて考察している。
具体的には、公的には医療と扱われない伝統的治療師(ヴァイッディヤ)の社会や人々にとっての現代における役割や、治療実践における伝統的治療師と医師免許を持つアーユルヴェーダ医師との相互関係性について調査している。この他、高齢化のすすむケーララ州において、福祉を目的としない多世代が共住する宗教実践の場(アーシュラム)における奉仕(セーワ)などのやりとりを介して構築される人々の関係性に着目している。

治療者の身体知とその習得プロセス

南インドにおいて、大学教育を修めたアーユルヴェーダやシッダなどの伝統医療の医師と、丁稚奉公式の修行を経た伝統的治療師のそれぞれの知識や技術の習得過程や提供する医療の質的な差異・共通項を分析することを通じて、実践としての医療に求められる身体知(非形式知)や治療者にかかる教育について考察している。