スタッフ紹介
原 正一郎
- 部門・職位
- グローバル生存基盤研究部門
連携教授 - 専門
- 情報学、人文科学とコンピュータ/デジタルヒューマニティーズ、保健学
- 研究分野/キーワード
- ・グローカル情報ネットワークの構築
・情報学を基盤とした地域研究の展開
・学術データの長期保存・活用に関する研究
原 正一郎
研究概要
グローカル情報ネットワークの構築
地域研究を情報学の視点から支援する機能として,①情報を作る機能(Myデータベース),②使う機能(MyデータベースAPI),③繋ぐ機能(資源共有化システム),および④応用する機能(時空間情報処理ツール)を「地域研究情報基盤」として構築し,管理・運用を継続している.この地域研究情報基盤は,本研究所の特徴的な学術機能となっているが,近年のオープンデータ化やビッグデータに対応することが困難である.そのため,最新のWebオントロジー技術を導入して,地域研究情報基盤の再構築を進めている.これにより,①多様な地域研究ビッグデータを効率的に収集・蓄積・管理する機能,②蓄積されたデータおよびネットワーク上の地域研究ビッグデータを効率的かつ知的に連携する機能,③地域研究を構成する各ドメインの知識を語彙のレベルで組織化・統合する機能の実現を目指している.
意義等:地域を理解する知的体系として展開されてきた地域研究は,自立的な地域社会の再生と環境の時代を迎え,グローバルとローカルをリンクしながら地域をデザインする学問への脱皮を迫られている.本研究の成果は,地域研究が立脚する「地域の知」を拡大し,それらを柔軟に共有・活用する情報学的機能を提供する.また,京都大学は世界有数の「地域の知」を蓄積しており,これらに対する社会や研究者のアクセスと利活用を促進する.さらに,政府や産業界が推進し学術情報の潮流でもあるオープンサイエンスの枠組みにも合致している.学術的意義および社会・経済・文化的意義が高いと考えている.
情報学を基盤とした地域研究の展開
地域研究に関わる大量の情報がWeb上で流通している.このビッグデータを人手で収集・分析することはもはや不可能である.そこで統計や機械学習の手法を適用して,ビッグデータの分析と可視化を試みる.また計量モデルを利用し,収集したデータを組み合わせることで,地域を「計量的に語る」ことを試みる.
意義等:ヒトやモノが高速・広域・大量に移動する21 世紀においては,たとえ一地域の紛争・疾病・災害であっても,それは国境を超えて周辺地域に大きな影響を及ぼしている.このような時代において,事件や問題が発生してから調査するのではなく,予測に基づいて対策を提案するようなアクティブな人文社会科学の創生が必要である.そのためには,ビッグデータを利用した人文社会科学と自然科学の学際研究の革新的な展開が必要である.
学術データの長期保存・活用に関する研究
データベースに蓄積されたデジタルデータにアクセスするには,そのデジタルデータに関する情報を記述したメタデータが必須である.本研究所が運営する地域研究情報基盤は,学内約100の地域研究デジタルデータとメタデータベースを収録し,国内外7機関61のDBの統合検索を実現するなど,地域研究に関する国際的な情報拠点となりつつある.ところが,多言語・多分野の地域研究ビッグデータの高度利用を実現するには,人工知能等を駆使した高度情報処理が必要であり,そのためには,メタデータの意味(メタデータスキーマ)をコンピュータが解釈可能な知識としてネット上で共有する機能が不可欠である.本研究では,そのような機能を持つメタデータスキーマ・データベースを構築する.
意義等:多くの学術リポジトリにはメタデータスキーマが保存されていないので,データの長期利用は困難である.デジタルデータの長期利用に関する研究は未踏領域であり,また日本は欧米の後塵を拝しているが,本研究は,そのブレークスルーとなる.