「家族圏」とは、家族を固定した集団としてではなく、ネットワークの広がりの中での一つのまとまりとして、すなわち「圏」としてとらえる、ということである。 頻繁な離婚、再婚を特徴とするマレー先住民の詳細な民族誌をもとに、「集団」の内と外を画然と区分けする従来の社会研究から、関係論的方法で解く新しいアプローチへと、社会研究の新しいパラダイムを拓く。
目次
まえがき
本書の構成
つなぎとしての地域研究
オラン・フルの人類学的臨地研究
つなぎの概念としての家族圏
序 第I部 オラン・フルの家族圏
第1章 臨地研究へ──1965年
1–1 マラヤの「原住民」(Aborigines)
1–2 エンダウ川流域のオラン・フル(Orang Hulu)の家族覚え書
1–3 マラヤにおける先住民の研究
第2章 親族ネットワーク
2–1 調査のオリエンテーション
2–2 エンダウ川とオラン・フルの部落
2–3 親族名称
2–4 むすび──社会の見方
第3章 家族構成の特質
3–1 はじめに
3–2 建物の構造
3–3 世帯構成の概観
3–4 家とクラミン
3–5 クラミンの構成
3–6 クラミンの形成
3–7 おわりに
第4章 結婚と離婚
4–1 婚姻形式
4–2 婚期と年齢較差
4–3 配偶者の選択
4–4 婚姻対価
4–5 婚姻儀礼
4–6 婚後の居住形式
4–7 性道徳
4–8 婚姻解消
4–9 再婚
4–10 おわりに
第5章 オラン・フルの経済生活
5–1 オラン・フルの集落
5–2 ネクサスを生む生産活動
5–3 ジャンクションの経済活動
5–4 財貨の蓄積
5–5 むすび
第6章 オラン・フルのコミュニティ秩序
6–1 家族内の権威
6–2 親族間のリーダーシップ
6–3 部落の統合と葛藤
6–4 部落間の反目と団結
6–5 外部世界との従属関係
6–6 ムスリム・マレー人部落との比較
破 第Ⅱ部 比較の視点
第7章 マレー農民の家族圏
7–1 マレー語の世界
7–2 生活単位としての世帯
7–3 家族歴と世帯構成
7–4 家族関係と世帯
7–5 原組織としての家族圏
第8章 マレーとタイとの比較
8–1 はじめに
8–2 屋敷地共住集団
8–3 タイにおけるその他の研究
8–4 マレー農村との比較
8–5 おわりに
第9章 オラン・フルとマレー人とブギス人
9–1 はじめに
9–2 民族誌的表象
9–3 比較
9–4 おわりに
急 第Ⅲ部 地域研究に向けて
第10章 ネットワーキング家族
10–1 家族論の境位
10–2 家族の関係性
10–3 関係は本質たりうるか
10–4 綜観への道
第11章 地域研究の考え方
11–1 地域研究の在り方
11–2 多元的一化思考
11–3 エコ・アイデンティティの可能性
11–4 地域研究を生かすシステム
あとがき
索引
