ヴェールのなかのモダニティポスト社会主義国ウズベキスタンの経験

帯谷知可 著
東京大学出版会、2022年1月
292頁 ISBN: 978-4-13-026171-5

著者からの紹介

イスラームへの帰依を示すスカーフなどの覆いを女性が公共空間で着用することの是非をめぐる「ヴェール(スカーフ)論争」は、今やグローバルな議論ともなっています。あまり知られていませんが旧ソ連圏でもそれは生じています。ウズベキスタンにおけるヴェールの「問題」化には、どのような固有の歴史的背景と現代的文脈があるのでしょうか。スカーフ論争を経て、ウズベキスタンは今、「ヴェールのない社会」から「ヴェールがあってもよい社会」への転換期を迎えています。



目次

序 章 ポスト社会主義国のヴェール/スカーフ問題への視座

第一部 モダニティの追求の磁場としてのウズベキスタン
 第一章 ウズベキスタンの成立──一九二四年中央アジア民族・共和国境界画定
 第二章 独立後のウズベキスタンのナショナリズムの光と影
 第三章 宗教とモダニティの相剋──イスラーム観をめぐる亀裂

第二部 イスラーム・ヴェール問題の歴史的展開
 第四章 中央アジアにおける女性の装いとヴェール
 第五章 帝政ロシアの「ムスリム女性」と「ヴェール」をめぐる言説
 第六章 ソ連期ウズベキスタンの「女性」と「ヴェール」をめぐる言説と表象

第三部 現代ウズベキスタンの「ヴェールの政治学」
 第七章 権威主義体制とイスラーム過激主義問題
 第八章 「女性」と「ヴェール」をめぐるポスト社会主義時代の語り
 第九章 新たなヴェール、新たな言説──「ヒジョブ」問題 
 終 章 モダニティの長い道程は再び開かれるのか


著者情報

帯谷知可

関連情報

「ブックトーク・オン・アジア」帯谷知可『ヴェールのなかのモダニティーポスト社会主義国ウズベキスタンの経験』(東京大学出版会、2022年)(2022.03.25)