荒 哲

荒 哲
部門・職位
グローバル生存基盤研究部門
連携教授
専門
フィリピン近現代史
研究分野/キーワード
日本占領期 対日協力 抗日ゲリラ戦 周縁史 民衆史 ギャング
連絡先
ara@ohtsuki.ac.jp

荒 哲

本研究では、私が過去から追究してきた研究内容、いわゆるフィリピン周縁社会から見たエリート以外のアクターによる日本占領研究をさらに発展させる形で、戦時下のフィリピン社会において様々なビジネス形態の中で蓄財し、日本軍に対する抵抗や協力といった枠を超えて行動した人物がどのようなプロセスの中で生存し、それが戦後のフィリピン社会にどのような影響を与えるに至ったのかを究明するのを目的としている。いわゆる戦時下フィリピン社会における階級上昇とそれが当該社会にどの程度の変容を与えたのかに関する研究である。

本年度の研究活動の中核においては、日本占領期のインフォーマルなアクティビティ、とりわけ戦前期から戦後間もない頃の混乱期に暗躍したギャングの役割を手掛かりに戦時期から戦後復興期にかけての周縁史研究を行っている。このような周縁史は、断片的に語られることはあっても、具体的な研究としての成果は少ない。現在、かつてマニラ市のトンドで暗躍した様々なギャング組織の末裔との対面調査を通して、過去の暴力と現在にまでフィリピン社会において横行する暴力との歴史的連続性を追究中である。


1945年終戦直後、マニラのトンドで暗躍したギャング、アション・サロンガの末裔の一人(ロミー・サロンガ)との面談調査(2025年3月、マニラ市トンド・R.A.レイエス通りにて)




1951年10月、アション・サロンガがギャング抗争の果てに殺害された現場にて。(2025年3月、マニラ市トンド地区にて)