スタッフ紹介 / 研究員
有馬 恵子

- 部門・職位
- グローバル生存基盤研究部門
PD / 特定研究員 - 専門
- 文化人類学、社会学、地域研究、キュレーション
- 研究分野/キーワード
- 非国家的空間 / 技芸
- 連絡先
- keiko.arima@cseas.kyoto-u.ac.jp
有馬 恵子
研究概要
統治されないための技芸
京都出町を対象とした地域研究
京都市北部の「出町」における路上販売、行商といった新しい小規模事業を対象としてフィールドワークを行ってきた。日本において路上販売や行商は失われるものだとみなされてきたが近年、自転車や軽自動車を使用した新しい移動販売が増加する傾向にある。研究では若者らがどのように地域に入り込み、「老舗」や地域住民の支持を得ながら新たな仕事場を開拓しているのかに注目している。研究成果は2025年7月に青土社より『京都出町のエスノグラフィ:ミセノマの商世界』として刊行された。
非国家的空間における技芸
「京都出町」の場の多くは空き地や空き家、あるいは建物の軒先や倉庫であり、これまで外部不経済あるいは非生産的な領域とみなされてきた領域である。これまでの研究ではこのような領域に関心を寄せて、社会的、文化的活動としての用を再評価した。衰退する、滅びる、前近代的といった危機が叫ばれてきた場や場を活用した小さな店のような領域は滅びてはいない。これからの研究では、小さな領域でこそ発現する「アート/技芸」に着目し、それらのアートが集積することで非国家的空間の生成に寄与しているメカニズムを明らかにしたい。ここでの技芸・アートとは、美術、工芸、手仕事などの技術、わざ。仕事をする能力、技術、技能といったものである。
東南アジアと日本における「地域アート」:キュレーターとして
これまで私は、キュレーターとして東南アジア各地でのアートプロジェクトや日本の美術館での展覧会に関わってきた。2000年代の現代アートやパフォーミングアーツは、美術館や施設で展示・公開されるものから、まちなかの使われていないスペースを利用したものへと変化してきた。このような事例は、「アート」領域が多元化し、まちと関わり合い相補的な関係を持っていることを示している。キュレーターとしての経験を活かして実践的なアートと研究の場を横断するエスノグラフィを目指している。

キュレーションプログラム「ハノイコレクティブオーケストラ2016」
主催:国際交流基金アジアセンター