スタッフ紹介
長谷川 拓也
研究概要
2014年村落法施行後のインドネシア村落開発と住民参加
2014年に新たに制定された村落法により、中央政府や県・市から村落に大規模な資金がブロックグラントとして移転されるようになった。特に中央政府からの村落基金(Dana Desa)は、村落行政を大きく変えるものであり、その使途の決定過程には住民のより積極的な関与が期待されている。本研究は、そうした大きな制度変化のなかで、村落開発計画への住民関与について、地域ごとにどのような違いが出てきているのか、分析する。分析する地域は、スマトラ島の2州(リアウ州、西スマトラ州)とジャワ島の5州(バンテン州、西ジャワ州、ジョクジャカルタ特別州、中ジャワ州、東ジャワ州)である。 ジャワの5州については、大阪大学の西村謙一准教授がとり纏めている科研プロジェクトで、ジャワ島の全県・市で実施する「地方自治に関する住民意識調査」(2018年5月実施済)のデータを基に分析する。リアウ州については、泥炭地回復という国際的な関心も高い地域的な課題があるなかで、村落予算を用いて住民参加型でそうした課題に取り組む村落が出てきているか、分析する。西スマトラ州については、慣習法コミュニティーが多く維持されているというこの地域的な特徴により、他地域と比べて住民参加に違いが出てきているか、分析する。 2014年以降の重要な変化をタイムリーに分析したものを提示する社会的意義とともに、インドネシアの村単位の民主主義の発展についての理解を深める学問的意義がある。