帯谷 知可 | 東南アジア地域研究研究所

帯谷 知可

職名: 准教授

MAIL: obiya [at] cseas.kyoto-u.ac.jp

研究部門

社会共生研究部門

専門分野

中央アジア近現代史、中央アジア地域研究

研究関心

旧ソ連中央アジア、特にウズベキスタンを研究対象として、ロシア帝国およびソ連との関わりのなかでこの地域の近現代史を掘り起こすことに関心をもっている。
これまで、中央アジアへのロシア革命波及後に生じた反ソヴィエト武力運動であるバスマチ運動、ソヴィエト体制下で行われた中央アジアの民族・共和国境界画定、ソ連解体後の新たなナショナリズムの諸相などの研究を行ってきた。また、中央アジア地域研究のための希少史資料をめぐって、現地の人々との協働による史資料の共有・保存・利用への関心から「トルキスタン集成」のデータベース化などを進めてきた。
近年特に関心のあるテーマとしては、(1)イスラームとジェンダーの観点から社会主義的近代化とその現代への影響について考察すること、(2)書誌情報整理を完了した「トルキスタン集成」を通じて、ロシア帝国の中央アジアに関する植民地的知の構築について考察することである。




    ここ数年の関心は旧ソ連中央アジアにおけるイスラームとジェンダーの問題に重心があり、とりわけイスラーム・ヴェールをめぐる言説と表象の問題を現代、ソ連期、ロシア帝政期と遡って確認する作業を続けてきた。そこから浮かび上がってきたのは、ヴェールをマーカーとして「他者」を設定し排除するような、ある意味で植民地主義の延長ともいえるダイコトミーの継承と変遷の歴史と、中央アジアのイスラーム・ジェンダー・家族をめぐる古くて新しい諸問題の切実な現状である。
これらを通じて、これらの問題は、ポスト社会主義・イスラーム復興・権威主義が交錯する磁場で生じ、20世紀的モダニティの再考を促すような極めて現代的な意義のある課題だと認識するにいたった。
    ウズベキスタン以外の旧社会主義圏イスラーム地域における社会主義的近代化とイスラームとジェンダーの問題が絡む事例と比較検討すべく、平成29年度から共同研究個別ユニット「社会主義を経たイスラーム地域のジェンダー・家族・モダニティ」(代表:帯谷知可、平成29~30年度)を組織した。この共同研究では、さらにヴェール問題や移民問題など中東イスラーム地域と共通する現象を取り上げて同じアリーナで議論することも目標としたが、新学術領域研究「グローバル関係学」B01班「規範とアイデンティティ」との協力により、イスラーム地域研究との接合が形になり始めている。

    編著書

  • 帯谷知可・後藤絵美編『装いと規範―現代におけるムスリム女性の選択とその行方』(CIRAS Discussion Paper No. 80)京都大学東南アジア地域研究研究所、2018年。
  • 村上勇介・帯谷知可編『秩序の砂塵化を超えて―環太平洋パラダイムの可能性』京都大学学術出版会、2017年。
  • 帯谷知可編『社会主義的近代とイスラーム・ジェンダー・家族1』(CSEAS Discussion Paper No. 69)京都大学東南アジア地域研究研究所、2017年。
  • 村上勇介・帯谷知可編『融解と再創造の世界秩序』(相関地域研究2)青弓社、2016年。
  • OBIYA, C., ed., Islam, Gender and Family in Central Asia: Soviet Modernization and Today’s Society (CIAS Discussion Paper No. 63), Kyoto: CIAS, Kyoto University, 2016.
  • 帯谷知可編『書誌情報データベースの地域情報学的新展開を探る』(CIAS Discussion Paper No. 51)京都大学地域研究統合情報センター、2015年。
  • 帯谷知可編『「トルキスタン集成」が開く世界Ⅲ Туркестанский сборник. Индекс по томам 1-594.』(CIAS Discussion Paper No. 44. CD.)京都大学地域研究統合情報センター、2014年。
  • 帯谷知可編『「トルキスタン集成」が開く世界Ⅱ 帝政ロシアの植民地的「知」のなかの中央アジア』(CIAS Discussion Paper No. 35)京都大学地域研究統合情報センター、2013年。
  • 帯谷知可編『「トルキスタン集成」が開く世界Ⅰ データベース化の課題と展望、その資料としての可能性』(CIAS Discussion Paper No. 44)京都大学地域研究統合情報センター、2013年。
  • 帯谷知可・北川誠一・相馬秀廣編『朝倉世界地理講座5 中央アジア』朝倉書店、2012年。
  • Obiya, C. and H. Kuroki, eds., Political Violence and Human Security in the Post-9.11 World (JCAS Symposium Series No. 24, State Nation and Ethnic Relations IX), Osaka: The Japan Center for Area Studies, NME, 2006.
  • 小松久男・宇山智彦・堀川徹・梅村坦・帯谷知可編『中央ユーラシアを知る事典』平凡社、2005年。
  • Komatsu, H., C. Obiya, and J. S. Schoeberlein, eds., Migration in Central Asia: Its History and Current Problems (JCAS Symposium Series No. 9), Osaka: The Japan Center for Area Studies, NME, 2000.

 

    論文

  • 帯谷知可「ルモルとヒジョブの境界―社会主義的世俗主義を経たウズベキスタンのイスラーム・ヴェール問題」帯谷知可・後藤絵美編『装いと規範―現代におけるムスリム女性の選択とその行方』(CIRAS Discussion Paper No. 80)京都大学東南アジア地域研究研究所、2018年、15-25頁。
  • 帯谷知可「イスラーム観の違いを克服する―ポスト社会主義、イスラーム復興、権威主義の交錯するウズベキスタンの課題」村上勇介・帯谷知可編『秩序の砂塵化を超えて―環太平洋パラダイムの可能性』京都大学学術出版会、2017年、105-135頁。
  • 帯谷知可「20世紀初頭の帝政ロシアにおけるムスリム女性をめぐる議論についての覚書」
  • 帯谷知可編『社会主義的近代とイスラーム・ジェンダー・家族1』(CIRAS Discussion Paper No. 京都大学東南アジア地域研究研究所、2017年、5-13頁。
  • Obiya, C., “The Politics of the Veil in the Context of Uzbekistan,” in Obiya, C., ed. Islam, Gender and Family in Central Asia: Soviet Modernization and Today’s Society (CIAS Discussion Paper No. 63), Kyoto: CIAS, Kyoto University, 2016, pp. 7-18.
  • 帯谷知可「社会主義的近代とイスラームが交わるところ―ウズベキスタンのイスラーム・ベール問題からの眺め」村上勇介・帯谷知可編『融解と再創造の世界秩序』青弓社、2016年、161-183頁。
  • 帯谷知可「中央アジアのムスリム定住民女性とイスラーム・ヴェールに関する帝政ロシアの植民地主義的言説」『西南アジア研究』84、2016年、40-54頁。
  • 帯谷知可「フジュムへの視線―1920年代ソ連中央アジアにおける女性解放運動と現代」小長谷有紀・後藤正憲編『社会主義的近代化の経験』明石書店、2011年、98-122頁。
  • 帯谷知可「アンディジャン事件―ウズベキスタンにおける暴力の『現場』からの声をどう聞くか―」『紛争の総合的研究(課題番号15310173)平成15~平成17年度科学研究費補助金基盤研究B(2)研究成果報告書』(研究代表者 押川文子)、国立民族学博物館、2006 年、115-154頁.
  • 帯谷知可「英雄の復活―現代ウズベキスタン・ナショナリズムのなかのティムール」酒井啓子・臼杵陽編『イスラーム地域の国家とナショナリズム』(イスラーム地域研究叢書5)東京大学出版会、2005年、185-212頁。
  • 帯谷知可「オストロウーモフの見たロシア領トルキスタン」『ロシア史研究』76、2005年、15-27頁。
  • 帯谷知可「宗教と政治―イスラーム復興と世俗主義の調和を求めて」岩崎一郎・宇山智彦・小松久男編著『現代中央アジア論―変貌する政治・経済の深層』日本評論社、2004年、103-128頁。
  • Obiya, C., “A Fragment of History of ‘Transoxiana’ in the Early 20th Century: Tracing Enver Pasha in Central Asia,” in Transoxiana: история и культура. Академику Эдварду Ртвеладзе в честь 60-летия. Коллеги и ученики, Ташкент, 2004, pp. 347-352.
  • Obiya, C., “The Basmachi Movement as a Mirror of Central Asian Society in the Revolutionary Period,” in Sakai K. (ed.), Social Protests and Nation-Building in the Middle East and Central Asia (IDE Development Perspective Series No. 1), Chiba: Institute of Developing Economies, JETRO, 2003, pp. 88-104.
  • 帯谷知可「ポスト社会主義期中央アジアにおける新しいナショナリズムと文化―ウズベキスタンの『祖国の歌』についての覚書」『ポスト社会主義圏における民族・地域社会の構造変動に関する人類学的研究―記述と社会モデル構築のための方法論的・比較論的考察―課題番号13610372 平成13~14年度科学研究費補助金基盤研究C(2)研究成果報告書』(研究代表者佐々木史郎)、国立民族学博物館、2003年、117-123頁。
  • 帯谷知可「最近のウズベキスタンにおける国史編纂をめぐって―『民族独立理念』のもとでの『ウズベク民族の国家史』― 」『東欧・中央ユーラシアの近代とネイションII』(北海道大学スラブ研究センター研究報告シリーズNo. 89、「東欧・中央ユーラシアの近代とネイション」2000-2003年度科学研究費補助金・基盤研究(A)(2)課題番号12301020: 研究代表者林忠行)、北海道大学スラブ研究センター、2003年、35-48頁。
  • 帯谷知可「二〇世紀中央アジアにおけるある国家の終焉―ブハラの運命が語るもの」『アジア新世紀2 歴史 アジアの作られかた・つくりかた』岩波書店、2003年、183-200頁。
  • 帯谷知可「バスマチ運動におけるエンヴェル・パシャ」松原正毅・後藤明編『西アジア社会の重層的構造』(JCAS連携研究成果報告5)、国立民族学博物館地域研究企画交流センター、2003年、135-153頁。
  • 帯谷知可「ウズベキスタンの新しい歴史―ソ連解体後の「国史」叙述のいま」森明子編『歴史叙述の現在―歴史学と人類学の対話』 人文書院、2002年、146-169頁。
  • 帯谷知可 「ウズベキスタン―民族と国家の現在・過去・未来」松原正毅編『地鳴りする世界―9.11事件をどうとらえるか』恒星出版、2002年、97-141頁。
  • Obiya, C., “When Faizulla Khojaev Decided to Be an Uzbek,” Komatsu, H. & Dudoignon S.(ed.), Islam and Politics in Russia and Central Asia: Early Eighteenth to Late Twentieth Centuries, London: Kegan Paul International, 2001, pp.99-118.
  • 帯谷知可「ファイズッラ・ホジャエフとその時代」『岩波講座世界歴史23 アジアとヨーロッパ1900年代-20年代』岩波書店、1999年、207-230 頁。
  • 帯谷知可「ウズベキスタンにおけるバスマチ運動の見直しとその課題」『地域研究論集』1(2)、1998年、73-89頁。
  • 帯谷知可「ウズベキスタン人民戦線『ビルリク』」ソビエト史研究会編『旧ソ連の民族問題』(ソビエト史研究会報告第6集)木鐸社、1993年、165-190頁。
  • 帯谷知可「フェルガナにおけるバスマチ運動1916-1924―シル・ムハンメド・ベクを中心とした『コルバシュ』の反乱」『ロシア史研究』51、1992年、15-30頁。

 

    翻訳

  • ルトヴェラゼ、エドゥアルド著、帯谷知可訳『アレクサンドロス大王東征を掘る―誰も知らなかった足跡と真実』NHKブックス、日本放送出版協会、2006年。
  • サオダト・オリモヴァ、ムザッファル・オリモフ著、帯谷知可訳「9.11事件から1年:タジキスタンの対応」『地域研究論集』5(1)、59-72頁.
  • ダヴラト・ムッラジャノフ著、帯谷知可訳「独立期のウズベク音楽エストラーダ」『ポスト社会主義圏における民族・地域社会の構造変動に関する人類学的研究―民族誌記述と社会モデル構築のための方法論的・比較論的考察― 課題番号13610372 平成13~14年度科学研究費補助金基盤研究C(2)研究成果報告書』(研究代表者佐々木史郎)、国立民族学博物館、2003年、139-148頁。
  • <分担翻訳>山内昌之編訳『スルタンガリエフの夢と現実』東京大学出版会、1998年。<分担翻訳>S.トレチヤコフ「新年おめでとう!『新レフ』おめでとう!」、V.トレーニン「食物・味覚のジャンル」、V.ペルツォーフ「アネクドート(社会学的分析の試み)」、S.トレチヤコフ「新レフ・トルストイ」、O.ブリーク「もっと事実に近く」、V.トレーニン「労働通信員と小説家」、S.トレチヤコフ「もっと新聞に近く」桑野隆・松原明編『ロシア・アヴァンギャルド第8巻 ファクト 事実の文学』国書刊行会、1993年。
  • <分担翻訳>V.コローチッチ・C.ポーター編、荒田洋監訳『グラースノスチ--週刊誌<アガニョーク>の証言』朝日新聞社、1991年。

  • CIRAS共同利用・共同研究個別ユニット「社会主義を経たイスラーム地域のジェンダー・家族・モダニティ―中東イスラーム地域研究との架橋をめざして」(2017-2018年度、研究代表者)
  • CIRAS joint usage/research unit “Gender, Family and Modernity in Post-Socialist Islamic Space: Seeking for Links with Middle East Islamic Area Studies” (2017-2018FY, Unit leader)