インドネシア女性解放運動の先駆者カルティニ(Kartini, 1879-1904)。女性教育に奔走した彼女を有名にした死後出版書簡集『闇から光へ』では西洋の光で未開から開眼する姿が描かれた。しかしそれは都合のよい虚像ではないか?除外された書簡から、教育と工芸芸術の振興で西洋からの自立を目指す姿を描き、解放された個人を求めたその声に耳を傾ける。
目次
凡例
序章 Door Duisternis tot Licht とBrieven
第1節 民族英雄像の何が無視されたのか
第2節 先行研究の整理
第3節 本書の構成
第1章 背景──閉されたジャワ社会の下で
第1節 植民地国家オランダ領東インドNederlandsch Oost Indiëの官僚制度と教育制度
第2節 19 世紀後半における交通・通信の発展と社会変化
第2章 カルティニの生涯
第1節 ヨーロッパ人小学校で学ぶということ
第2節 閉居
第3節 慣習と戦う
第3章 カルティニの読書
第1節 20世紀転換期におけるカルティニの読書環境──オランダ語書籍の入手
第2節 オランダ人の手による東インドの作品──オランダ植民地文学と学術論文
資料I Brieven[Kartini 1987: 62-75]より「1901年8月8-9日付アベンダノン夫人宛書簡(創作物語付)」翻訳資料
資料II パネ抄訳版HABIS GELAP TERBITLAH TERANG より「1901年8月8-9日付アベンダノン夫人宛書簡」翻訳資料
資料III カルティニ関連年表
あとがき
引用文献目録
掲載写真 出典一覧
索引