東南アジアを学ぶ人のために

中西嘉宏・野中葉 編
世界思想社、2026年
224頁、ISBN: 978-4-7907-1804-8

躍動する7億人の〈現在地〉
急成長する経済、都市の熱気、揺らぐ政治情勢、植民地の記憶。
多様性に富む社会は、次々と新しい姿を見せている。
日本との関係が深まるいま、東南アジアの必須知識がわかる入門書。(出版社HPより)

日本と地続きの社会として東南アジアを学ぶ──編者よりひとこと
本書はタイトルのとおり、東南アジアを学びたいなと思った人がまず手をとるために編まれました。世界思想社さんで長く続く同シリーズは、私も学生時代にいくつか手に取ったことがありますが、東南アジアを冠したタイトルははじめてだそうです。意外でした。その編者のひとりとなれたことはとても光栄なことです。

13の章と8つのコラムを通して、東南アジアがどんなところなのかを各著者が紹介していきます。読みやすい文体で、各章が一度で読み切れる分量ですので、楽しく読めると思います。とはいっても、著者のみなさんは第一線の研究者。ぬるーい紹介でお茶をにごすわけがありません。もっと深い理解や考察につなげるためのヒントが詰まっています。最初から順に読む必要はなくて、目次を眺めて興味がわいた章から呼んでもオーケー。

外国を学ぶというと「ここではないどこか」について知ることだと考えられがちです。ですが、日本にとって東南アジアは「ここではないどこか」ではもうありません。たくさんの東南アジアのひとたちが日本を訪れ、暮らしています。日本人も多く東南アジアにはいます。日本と地続きの社会として東南アジアを学ぶ、そのお手伝いができればというのが本書に込められた編者の願いです。(中西嘉宏

目次

序 東南アジアを学び、ともに生きる中西嘉宏・野中葉)→ためし読みはこちら

第Ⅰ部 歴史と自然

1 経済史──スパイスと港町が世界をつなぐ(小林篤史)
2 脱植民地化──終わりのない物語(長田紀之)
3 気候──熱帯泥炭地と人びとの暮らし(小川まり子

コラム1 心やさしき仏教の末路(伊東利勝)
コラム2 岐路に立つカリマンタンの「森」の世界(寺内大左) 

第Ⅱ部 社会と文化

4 民族──支配と生活を映す鏡(田川昇平)
5 宗教──社会のなかで創られ続ける「宗教的なもの」(久志本裕子)
6 若者──ポップカルチャーにみなぎるエネルギー(金悠進)
7 ジェンダー──保守と進歩の対立を超えて(西川慧)

コラム3 海の上に暮らす人びと(中野真備)
コラム4 シダ納豆は稲ワラ納豆よりおいしい?(横山智)

第Ⅲ部 経済と政治

8 経済成長──多様性が織りなすダイナミズム(熊谷章太郎)
9 民主主義──キャラ立つ指導者たちの功罪(中西嘉宏)
10 紛争と和平──民族自決と国家主権のはざまで(谷口美代子)

コラム5 「伝統」で稼ぐ生薬売り(間瀬朋子)
コラム6 ある移民の人生(細田尚美)

第Ⅳ部 日本とともに

11 日本軍政の記憶──インドネシアに残るさまざまな痕跡(津田浩司)
12 東南アジアでの日本ビジネス──拡大、深化から共創の時代へ(梅﨑創)
13 日本での東南アジアコミュニティ──急激な流入と進む定住化のゆくえ (野中葉)

コラム7 日本・東南アジア安全保障協力の新展開(鈴木絢女)
コラム8 技能実習生の横顔(山口裕子)

索引