著者からの紹介
2021年の初頭に報道などでさかんに取り上げられ、そのあとすっかり忘れられたのがミャンマーの政情です。軍によるクーデターと市民に対する激しい弾圧があって、国は混乱に陥りました。で、なんであんなことが起きて、いまミャンマーってどうなってるの? そんな疑問に答えるべく、アウンサンスーチーが民主化運動の指導者となった1988年以来の政治、経済、外交を振り返って、この国の複雑さと現在の政治危機を考察したのが本書です。少し退屈なタイトルですが、中身は教科書的にならないように工夫して書きました。ぜひご一読を。
目次
はじめに
序章 ミャンマーをどう考えるか
1 クーデターの衝撃
2 歴史的背景
第1章 民主化運動の挑戦(一九八八―二〇一一)
1 一九八八年
2 クーデターから選挙へ
3 弾圧のなかの抵抗
第2章 軍事政権の強権と停滞(一九八八―二〇一一)
1 軍の支配原理
2 軍事政権の展開
3 軍事政権下の経済
第3章 独裁の終わり、予期せぬ改革(二〇一一―一六)
1 軍が変えた政治
2 制度が変わり、行動も変わる
3 自由化と政治和解
4 紛争への新しいアプローチ
5 経済開発
第4章 だましだましの民主主義(二〇一六―二一)
1 政権交代の現実
2 ボスとカリスマの攻防
3 困難になる共存
第5章 クーデターから混迷へ(二〇二一―)
1 クーデター勃発
2 政争から危機へ
3 ポスト・スーチー時代の到来
第6章 ミャンマー危機の国際政治(一九八八―二〇二一)
1 ミャンマー軍と外交
2 民政移管後の外交「正常化」
3 手をこまねく国際社会
4 日本とミャンマー
終 章 忘れられた紛争国になるのか
1 この国の行方
2 この国の困難
3 日本はどうすべきか
あとがき
主要参考文献
ミャンマー現代史関連略年表