中国雲南省南部に20世紀半ばまで存続した、シプソンパンナーと呼ばれるタイ族の政治統合における稲作ー水利組織と王族田経営の在り方等を綿密に分析することで、大陸東南アジア北部一帯に成立した山間盆地単位の小国家における「中心」と「周縁」の関係を明らかにする。東南アジア前近代国家論に歴史学のサイドから新しいモデルを加える。
目次
はじめに
序章 東南アジア史研究におけるシプソンパンナーの位置
序–1 雲南省西双版納傣族自治州と州都景洪
序–2 研究対象としてのシプソンパンナー
第 I 部 タイ族盆地政権連合、シプソンパンナーの成立と展開
第1章 シプソンパンナーの成立と展開
1–1 タイ族盆地政権連合の一つとしてのシプソンパンナー
1–2 小規模ムン連合の形成──一三世紀前半までの動き
1–3 シプソンパンナー勢力の拡大──一四世紀終わりから一五世紀前半まで
1–4 潜在的内部分裂と相対的安定の時代──一五世紀後半から一六世紀前半まで
1–5 ビルマ勢力の拡大と「シプソンパンナー」の成立──一六世紀後半から一七世紀まで
1–6 清朝勢力の侵入と新土司の認証──一八世紀前半
1–7 ビルマと中国のシプソンパンナーをめぐる関係──一八世紀後半
1–8 繰り返される王位継承争い──一九世紀
1–9 柯樹勛勢力の侵入から「シプソンパンナー」の終焉まで
1–10 シプソンパンナーのムン連合としての変遷──まとめとして
第2章 ムン権力の耕地・農民の把握
2–1 はじめに
2–2 主要盆地の面積と分布
2–3 水田総面積と村落総数から見たムン間の差異
2–4 農民所属の水田と王族所属の水田
2–5 タイムン村落と「クンフンツァオ」村落
2–6 大ムン間の比較──ムンツェンフンとムンツェーを中心に
2–7 耕地と人への徴税方法
第 II 部 中心ムン・ムンツェンフンにおける支配
第3章 耕地と農民
3–1 はじめに
3–2 水田のカテゴリーと税
3–3 タイムンと「クンフンツァオ」
3–4 タイムン、「クンフンツァオ」の耕作する水田の種類、量
3–5 王族所属田と「クンフンツァオ」、耕作徭役とタイムン──結論
第4章 村落分布とムン権力の水利組織への関与
4–1 はじめに
4–2 ツェンフン盆地の水利環境と大用水路
4–3 村落立地と水利灌漑への関わり方
4–4 六大水路の規模とその水がかり地域
4–5 称号を持った水利管理役
4–6 ムン権力の水利組織への関与
4–7 ツァオペンディン田の分布
4–8 おわりに
第5章 村落の立場から見たムン支配──耕作と税負担の実際
5–1 はじめに
5–2 ムンの中の村落(バーン)
5–3 耕地をめぐる村落間の関係と税負担の実際
5–4 おわりに
第6章 「支配者」としてのタイムン村落──バーンターの事例
6–1 はじめに
6–2 タイムン村落、バーンター
6–3 バーンターと周辺村落との関係
6–4 バーンターとムンの支配形態の類似点
6–5 ムン権力の浸透とバーンター権力の拡大
6–6 おわりに
終章 結論と今後の課題
終–1 本書を振り返る
終–2 中心ムン、ムンツェンフンとはいかなるムンか?
終–3 おわりに
附論 日本におけるシプソンパンナー研究
第2章 附表
あとがき
史料・参考文献リスト
索引
