市場、社会インフラ、行政サービスから恩恵を受けることの小さい人々が、どのような資源を利用し、みずからの生存維持に努めているかを研究しています。これまでは、生活用具、精米機、労働力、米、住居の貸借にみられる世帯間ネットワークに着目し、定量分析をおこなってきました。その結果、世帯間の貸借ネットワークが生存維持に一定の役割を果たす一方で、非日常の生活場面では日常的に利用されるネットワークが利用されないことを明らかにしました。またネットワーク利用では世帯間に大きな格差がみられました。この世帯間ネットワークの弱い世帯はどのように形成されるのか。世帯間ネットワークの貧困化は、主に家計の縮小期、子だくさん世帯、結婚後間もない世帯（家族周期の初期）との相関が認められました。