林 泰一

部門・職位
環境共生研究部門
連携教授

林 泰一

ベンガル湾岸地域における自然災害の軽減と人間活動に関する研究

東南アジアと南アジアに関連して、平成29年度に引き続いて、インド、バングラデシュやミャンマーを対象として、ほぼ毎年のように大きな被害を発生させるサイクロン(熱帯性低気圧)や大規模洪水に加えて、竜巻や突風などのシビアローカルストームの自然災害に対して、調査研究を進めた。インドやバングラデシュでの被害軽減の経験の蓄積に比べて、ミャンマーにおいてはその蓄積が少ないので、防災・減災の知識をミャンマーに対して応用・提案し、現地調査による実知見を実施して、応用、科学技術および社会・文化の両側面からその基本方針を提示した。さらに防災・減災技術を現地社会に還元するため、ミャンマー気象水文局の気象情報の民間への周知徹底、設置された3基の気象レーダーのデータの利活用、避難場所としてのサイクロンシェルター建設などのハード対応に加えて、「気象情報の円滑な住民への伝達」、「コミュニティレベルでの危機避難情報の共有」など、ハードを補完するソフト面での減災の手法を充実させた。将来的に「被害者ゼロ」、「地域の人々の暮らしの持続性」の実現を目指して、これまで地域住民が蓄積してきた経験則「在地の知恵」を加えて、より実効性の高い被害軽減の方法を探った。
インドのジャイプールにおいて、京都大学の東南アジア地域研究研究所と防災研究所と共同で、「気候変動に伴う極端現象による災害の軽減に関するシンポジウム」を開催した。アッサム州のジョルハットで、英領インド時代から続くトクライ茶業研究所や茶園で、1850年代からの日雨量と気温のデータを収集し、気候変動研究のデータベースを作成するとともに、ジョルハット工科科大学で開催された「気候変動に関する国際会議」に参加し、基調講演を行った。
 インドのアッサム、メガラヤ、バングラデシュを対象として構築してきた気象観測ネットワークの維持管理をはかり、過去10年以上の気象観測データのとりまとめを行い、公開した。
京都大学農学研究科と共同して、インドのカルナカタ州とアッサム州において、溜め池の堤防強度の調査、茶園の効率的な灌漑に関する調査を主なった。