今村 祥子 | 京都大学 東南アジア地域研究研究所

今村 祥子

部門・職位
政治経済共生研究部門
連携講師
専門
インドネシア政治研究、地域研究、比較政治学
研究分野/キーワード
インドネシア・スハルト体制における統治理念と暴力、権威主義体制崩壊後の変化と連続性、統治理念と暴力をめぐる比較研究
連絡先
sachiko_imamura@yahoo.co.jp

今村 祥子

スハルト体制における統治理念と暴力

インドネシアで30年以上にわたり独裁的な支配を維持したスハルトの統治について研究してきた。とりわけスハルト体制が、国軍と官僚機構に支えられた制度的な支配を基調としつつも、周期的に苛烈な暴力、それも民衆の暴力を動員した国家の暴力が爆発したのはなぜかという疑問から分析を行ってきた。その研究成果は『統治理念と暴力─独立インドネシアの国家と社会』(東京大学出版会、2024年)として刊行された。

民主化後のインドネシアの軌跡:変化と連続性

現在、二つの方向に研究を発展させようとしている。第一に、スハルト後のインドネシアの軌跡をどう理解するかである。スハルト体制の末期にスハルトを支えた人物が、民主化直後には出国を余儀なくされながら、その後、選挙を戦いながら支持を広げ、2024年の大統領選挙で圧勝したことは何を意味するのか。民主化で何が変わり、何が変わらなかったのかを改めて問う作業を進めたい。

統治理念と国家の暴力をめぐる比較研究

第二に、統治理念と暴力をめぐる東南アジア域内の比較である。フィリピンにおけるドゥテルテ前大統領の麻薬戦争や、ミャンマー軍による市民を標的とする空爆など、国家権力による市民への苛烈な暴力の事例は後を絶たない。その背後に、国家・社会関係をめぐるどのような論理もしくはイデオロギーがあり、その起源は何か、さらにそのような統治理念は社会からいかなる反応を生んでいるのかという点について、比較研究を行う。