中西嘉宏准教授が第43回サントリー学芸賞を受賞しました | 京都大学 東南アジア地域研究研究所

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中西嘉宏准教授が第43回サントリー学芸賞を受賞しました

2021.11.12

中西嘉宏准教授が『ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相』(中公新書、2021年)により、第43回サントリー学芸賞(政治・経済部門)を受賞しました。

サントリー学芸賞は、広く社会と文化を考える、独創的で優れた研究・評論を行う個人に対して贈られます。

公益財団法人サントリー文化財団によるプレスリリースは、こちらをご覧ください。

12月21日、第43回サントリー学芸賞の贈呈式が行われました。第一部の贈呈式に続き、第二部の講評と質疑応答では、選考委員の北岡伸一氏より、政治・経済部門の受賞対象となった中井遼氏の著作『欧州の排外主義とナショナリズムー調査から見る世論の本質』とともに、中西嘉宏著『ロヒンギャ危機―民族浄化の真相』に対する講評が述べられました。質疑応答では、受賞者それぞれが今後の抱負、研究テーマについてコメントを述べられました。

受賞者一覧(サントリー文化財団ウェブサイト)
https://www.suntory.co.jp/sfnd/prize_ssah/

中西嘉宏の「受賞のことば」は以下で公開されています。
https://www.suntory.co.jp/sfnd/prize_ssah/essay/2021_02.html

WEBアステイオン「人道危機の裏側に民主主義と正義の危うさをみる」
https://www.newsweekjapan.jp/asteion/2021/12/post-41.php

スタッフ紹介 中西嘉宏
https://kyoto.cseas.kyoto-u.ac.jp/staff/nakanishi-yoshihiro/

●中西嘉宏よりひとこと

このたび、サントリー学芸賞という栄誉にあずかりました。お世話になった中央公論新社の皆さん、研究プロジェクト等でご一緒した皆さん、授業や講演、研究会、会議中のこっそりチャット、酒の場などで私の話に耳を傾けてくださった皆さん、ミャンマーで調査に協力してくださった皆さん、研究所の同僚、そして家族に感謝したいです。

本賞の創設者である山崎正和先生によると、「学術賞」でなく、「学芸賞」としているのは、対象作品に対して、「素朴な疑問」に「大きなフレームで物事をとらえ、上から見ている広さのようなものが感じられ」る「芸」を求めたからだそうです。

その意味では、報道などで言葉は聞いたことがあるけど、中身がよくわからないロヒンギャ問題を、基本からはじめて、なるべく多角的に、また長い時間の幅で検討しようとした本書の意図が、選考委員の先生方に伝わったのかなと感じ、うれしく思います。

ただ、出版直後に現地で起きたクーデターがきっかけとなって本書が注目されたこともあり、まだまだ混迷が続く現地のことを考えると、なにか胸につかえてしまって、喜びきれないところもあります。賞はひとつの出版プロジェクトに与えられたものですから、素直に喜ぶべきだと頭ではわかっているのですが、なかなか割り切れないものです。

本が売れなくなるなかで、外国にかんする書籍は日本ではさらに苦戦を強いられそうです。地域研究者の日本社会への情報発信には、「学芸」や「語りの戦略」といったものがますます必要になるでしょう。受賞者の名に恥じぬよう、学術と学芸の双方で努力する、がむしゃらなおじさんを目指したいと思います。

(2021年12月22日追記)