国際セミナー「ウィリアム・ハント航空写真コレクションを用いたカンボジア・アンコール地域の景観変容の研究」 | 京都大学 東南アジア地域研究研究所

NEWS

国際セミナー「ウィリアム・ハント航空写真コレクションを用いたカンボジア・アンコール地域の景観変容の研究」

2018.03.08

日時: 2018年2月28日(水)
場所: 東南アジア地域研究研究所 稲盛財団記念館 東南亭

活動報告:
 2018年2月28日に、国際セミナー「ウィリアム・ハント航空写真コレクションを用いたカンボジア・アンコール地域の景観変容の研究」を京都大学東南アジア地域研究研究所で開催しました。ウィリアム・ハント航空写真コレクションは、英国の軍人であったウィリアム・ハントが集めた第二次世界大戦前の大陸部東南アジアの航空写真のコレクションです。彼が1953年にマレーシアで死去した後は、イギリスのSOAS Libraryで保存されていました。東南アジア地域研究研究所は、その写真コピーとスキャンしたデジタルデータを保管しています。今回のセミナーの目的は、2017年5月に本研究所と学術交流協定を樹立したカンボジアのAPSARA Authority(「アンコール地域保全と管理のための機構」)から関係者を招き、ウィリアム・ハント航空写真コレクションのなかでカンボジアのアンコール遺跡周辺の航空写真を利用して、地域の景観変容の研究をどう進めるのかを議論することにありました。
 研究会では、APSARA Authorityの研究者3名が報告を行いました。まず、YOU Tengbueng氏は、アンコール遺跡を中心とした74葉の航空写真のモザイク化のプロセスとその技術的問題点について報告しました。次いで、IM Sokrithy氏が、ウィリアム・ハントの1940年代のサンプル写真を参考にアンコール遺跡周辺の今日の村落を訪問し、この数十年間の景観変容の実態を調査した予備的成果を報告しました。そして、REN Bunthrng氏は、クーレーン山を含むアンコール地域の広域的な森林保全と水環境の関連を中心とした報告を行いました。その後、コメンテーターとして招聘した早稲田大学の田畑幸嗣氏と上智大学の丸井雅子氏からの意見を中心に、同資料の共有化と活用に関して議論を行いました。
 本研究会は、科学研究費補助金「地図・航空写真の3Dアーカイブ化技術を用いた国際化時代の研究資源共有化手法の構築」(挑戦的萌芽、H28 ~29 、代表者:小林知)の成果の一部として開催されました。