大規模災害の記録と記憶の継承におけるスマホアプリの活用:インドネシア・アチェ州でワークショップを実施しました | 京都大学 東南アジア地域研究研究所

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大規模災害の記録と記憶の継承におけるスマホアプリの活用:インドネシア・アチェ州でワークショップを実施しました

2024.08.28

2024年8月21日–22日、インドネシアのアチェ州バンダアチェで、ワークショップ「Dari Foto ke Memori: Pemanfaatan Memorygraph dalam Mempertahankan Ingatan Kolektif(写真から記憶へ:集合的記憶の継承における「メモリーグラフ」の活用)」がインドネシア国立公文書館アチェ津波アーカイブセンター(BAST-ANRI)、シアクアラ大学津波防災研究センター(TDMRC-USK)、シアクアラ大学大学院防災学研究科と本研究所との共催により開催され、西芳実准教授が出席しました。

「メモリーグラフ」は同一構図撮影を支援するカメラアプリで、今昔写真、定点観測など景観の変化を可視化するために活用されています。西准教授らは上記現地カウンターパートとの共同研究によりこの技術をインドネシアの津波被災地で活用し、景観の変化を住民主体で記録し、被災と復興の経験を地域を越えて共有するとともに、次世代に継承するという課題に取り組んでいます。

ワークショップでは西准教授が講師を務め、本研究所のこれまでの取り組みを紹介するとともに、州立図書館、アチェ津波博物館、地元高校からの参加者と市内の津波遺構を訪れ、「メモリーグラフ」を用いた撮影や意見交換会に参加しました。2日間にわたるワークショップの模様は、BAST-ANRIウェブサイト、Instagramfacebookにて詳しく紹介されています。

また、アチェの地元新聞社『スランビ・インドネシア』ほか多数の現地語メディアでもワークショップ開催の模様が報じられました。さらに同紙では、大規模自然災害被災地における景観変化の記録・共有・継承がコミュニティの集合的記憶の再生に果たす役割について、西准教授のコメントが紹介されました。

ワークショップでメモリーグラフの活用について説明する西准教授(左上)、メモリーグラフを用いたフィールド実習後の意見交換会(右上)、集合写真(下)(写真提供:インドネシア国立公文書館アチェ津波アーカイブセンター(BAST-ANRI))