開催日時: 2017年2月14日 14:00-15:30
場所: 東南アジア地域研究研究所 稲盛財団記念館2階 東南亭(201号室)
タイトル: セクシズムの打破:学術界における女性
報告者: チャリダポーン・ソンサムファン
要旨:
多数の諸国において女性の大学教員・大学生数が男性教員・学生数を上回っているにもかかわらず、女性はジェンダー・ステレオタイプやジェンダー・バイアスに関する問題に直面し続けている。「女らしさ」と学術活動とは両立しないとの考えは、女性の研究者/教員に対する見方および評価に影響を及ぼしてきた。こうした考え方は、さまざまな文化における女性像を反映している。ジェンダー面の影響についての経験と理解は、社会的・階級的地位や学問分野が違えば女性の大学教員・学生間で異なってくる可能性がある。学術界の女性は、ジェンダー状況、影響および階層的ジェンダーへの対処アプローチに関してさまざまな見方を取り得る。学術界の女性は意見が分かれているものの、その寄与と存在によって多くのセクシズムの考えと価値を徐々に変えていく。ここでは、ジェンダー、インターセクショナリティ、セクシズムおよび女性学術研究者の経験間の相互作用を明らかにする。そのために、いくつかの重要な課題について指摘し、タイと日本の経験や状況を踏まえて詳しく説明する。女性研究を独自の領域として確立することが女性の学術活動にもたらす意味について述べる。
報告者の紹介:
チャリダポーン・ソンサムファン氏はバンコクのタマサート大学政治学部准教授。現在は、政治・政府学科長、アジア女性研究学会(AAWS)副会長およびサービス労働者グループ財団(SWING)理事長。主な研究テーマは、フェミニスト政治理論、セクシュアリティの政治学、ジェンダーにもとづく暴力/性暴力などである。現在の研究プロジェクトは「フェミニティ・ポップカルチャー・美容業界」と「超自然的予言:タイ政治における希望と恐怖の構築/省察」
主な著作は次のとおり。
「政治的・ジェンダー的権力関係:タイ現代社会のセクシュアリティ言説」(スワンナ・サタ・アナン編『タイ女性研究:力・知識・正義』梨花女子大学出版会、ソウル、2004年)、『セクシュアリティの歴史:タイ史における性の歴史/セクシュアリティ』(2008年)、「フェミニズムのローカル化:タイをコンテクストとした女性の声と社会運動」(2011年)、『生殖自律性と公共政策:タイ社会の望まれぬ妊娠/中絶に関するせめぎ合い』(近刊)
モデレーター:
設楽 成実(京都大学東南アジア地域研究研究所 助教)
*本セミナーは、文部科学省「東南アジアにおける持続型生存基盤研究」の支援を受けています。