カメルーンのバカ・ピグミーと環境教育をテーマにした国際ワークショップ開催 | 京都大学 東南アジア地域研究研究所

EVENTS

カメルーンのバカ・ピグミーと環境教育をテーマにした国際ワークショップ開催

日時: 2018年2月5日(月) 8:00~15:30
場所: Hôtel Résidence le Zurikoi(カメルーン東部州アボン=ムバング)

目的
森の民の将来は、若年層への教育に多くがかかっている。教育は、果たして森の民の文化をよりよくし、国民国家システムの中での市民社会への参加に貢献することができるだろうか。

この大きな問いに対して、ローカルNGOは多くの努力を払ってきた。例えば、オカニやカダップは、バカの子供たちができるだけ長く学校のカリキュラムを遂行できるように支援してきた。一方で、バカ社会は、社会文化的な伝統が失われつつあるという危機にも瀕している。

それは特に2000年代以降に顕著な傾向で、熱帯林伐採や地下資源採掘など産業開発に伴った環境破壊に、また逆に、森林資源の利用に関する行き過ぎた自然保護政策の執行に原因が求められる。自然に関する伝統的知識や森での活動に関わる実践知こそが先住民文化の核であるにもかかわらずである。

森の民の将来をより確実で豊かなものにするために、私たちは伝統と近代はともに必要なものだと考える。したがって、このワークショップでは以下の問いに対して、対話を通じ、考えを深めることにしたい。

問い1:今日、バカの子供たちが裨益している学校教育モデルの抱える困難な点と成功している点はなにか?
問い2:伝統的生態学知識の次世代への伝承を阻害している要因はなにか?
問い3:学校教育と森での伝統的生態学的知識の伝承をどう調和させたらよいのか?
問い4:バカの伝統文化は、今日のグローバルな世界においてどのような価値をもっているだろうか?

プログラム
第一部:ファシリテーションのための発表:
1.大石高典(東京外国語大学現代アフリカ地域研究センター)とアエ・モンド(NGOカダップ代表):趣旨説明
2.メッセ・ブナン(NGOアソシエーション・オカニ代表): バカ語で教科書を作るということ: ORA(「観察・自省・行動」)プログラム*についての振り返りから次の展開へ
3.アエ・モンド(NGOカダップ代表):バカの子供たちへの学校教育普及の課題と成功事例:アボンバン地区での活動から
4.エバリスト・フォングンゾッシ(千年紀生態学博物館/ドゥアラ大学上級講師): 学校教育と生態学的伝統知識はトレードオフか:民族植物アプローチによる検証
5.飯塚宜子(京都大学・東南アジア研究所研究員)と大石高典(東京外大現代アフリカ地域研究センター講師): 世界の子供を環境教育でつなぐ: 森の文明と都市文明(あるいは、南と北)の二項対立を越えて

第二部:討論とワークショップ

*キリスト教ミッションが1990年代に開発し、普及させたバカ語教科書を使用した教育プログラム。2000年代初めに資金問題等でミッションが撤退し、プロジェクトは退行した。

使用言語: フランス語

共催: カダップ(NGO)、東京外国語大学現代アフリカ地域研究センター、京都大学東南アジア研究所、アソシエーション・オカニ(NGO)、千年紀生態学博物館(NGO)、ドゥアラ大学

協力: 科研基盤(B)「ホモルーデンスの誕生-遊びとネットワークを通してみるコドモ社会の種間比較」(代表:島田将喜帝京科学大学准教授)
科研基盤(C)「持続可能性を基軸とした異生態系比較による「地域の知」モジュール化と公教育への応用」(代表:飯塚宜子京都大学東南アジア地域研究研究所研究員)

問い合わせ先: 大石高典博士(takanori[at]tufs.ac.jp, takanori.oishi[at]gmail.com, Tel. +81-8061234706)、アエ・モンド氏(E-mail : ayemondo[at]yahoo.fr)