EVENTS

Special Seminar: Frontiers of Gender Studies in Asia

開催日時: 2018年11月27日 14:30-16:30
場所: 東南アジア地域研究研究所 稲盛財団記念館2階 セミナー室(213号室)

タイトル: 東南アジアにおけるジェンダー:流動性・せめぎ合い・交渉可能性
報告者: シャンティ・タンビャー   

要旨:  
東南アジアの双系制親族組織および多様で変化している同地域の社会・経済活動において複雑化を増している女性の積極的役割について検討する。東南アジアをひとつの地域とみなすうえで、双系制こそが域内で共有されている慣行であり、また、広い文化的幅、多様性および混雑性を呈している地域をひとつとして捉える見方につながっている。域内の流動的かつ動態的な「文化的マトリクス」は双系的社会組織体系と関係している可能性があり、ジェンダー関係が柔軟になり、集団形成が包摂的になることで豊かな多様性と混雑性に寄与できる。東南アジアの親族関係には構造と永続性が欠如しており、それゆえこうした背景から生じる同地域の「文化的マトリクス」は本質的に、固定的または規範的というよりは類似性が共有されている。したがって、東南アジア地域のジェンダーはこの文脈において構築され、構成されており、域内「文化的マトリクス」のひとつの特質とみなすことができる。ただし、これは一般化された本質的な双系原理とそれによるジェンダー平等を主張するものではなく、ローカルな文脈で多種多様な形態をとる双系的社会組織体系が流動性、せめぎ合い、交渉可能性が高い地域におけるジェンダーの捉え方に寄与していることを主張している。こうした行為、応答および結果の多様性は、均質化する植民地的、国家的、国民主義的およびグローバル資本主義的なイデオロギーや言説により上書きされてきたし、現在も上書きされている。      

コメンテーター:
藤倉 達郎・中村 沙絵(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)     

モデレーター:
帯谷 知可(京都大学東南アジア地域研究研究所 准教授)    

報告者の紹介:
マラヤ大学人文社会科学部ジェンダー研究准教授。マラヤ大学から学士号、ケンブリッジ大学から哲学修士号、ハル大学から博士号(社会人類学)を取得。マレーシアにおけるジェンダー、家族および仕事、そして変化しているジェンダー関係まで幅広く著作がある。   

*本セミナーは、ASAFASフィールドワーカー子育て・介護サポートグループとCIRAS共同利用・共同研究プロジェクト「ポスト社会主義イスラム空間におけるジェンダー・家族・モダニティ:中東イスラム地域研究との連携を求めて」との共催である。

男女共同参画推進malaysia