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ミャンマーとASEANにかんする研究会のお知らせ(8月30日午前11時開始)

8月30日午前11時から、客員教授として本研究所に所属していただいている重政公一さんにミャンマーとASEANに関する発表をしていただきます。ハイブリッド形式での開催を予定していますが、コロナ感染症拡大の状況によっては、オンラインのみでの開催とさせていただきます。 オンライン開催になりました

このミーティングに事前登録する: 
 https://kyoto-u-edu.zoom.us/meeting/register/tZMocuCqrDsuE9DFvEotTLGbdEvRgqVL42eq

登録後、ミーティング参加に関する情報の確認メールが届きます。みなさんのご参加、心よりお待ちしています。


日時:2021年8月30日午前11時
会場東南アジア地域研究研究所三階・中会議室(ハイブリッド形式) オンライン開催
発表タイトル:ミャンマー2021年クーデターとASEAN:無責任な介入?
発表者:重政公一(東南アジア地域研究研究所・客員教授)
討論者中西嘉宏(東南アジア地域研究研究所)


発表要旨
本報告は2月1日軍事クーデターに至る過程を探求しつつ、ミャンマー国内が混乱する中で東南アジアの地域機構であるASEANの役割とミャンマー内政沈静化に果たす機能に着目する。この理由は国際社会からミャンマーも加盟するASEANに対する暗黙の要請と期待が寄せられているからではなく、地域の問題を地域で解決することを目指すASEAN自身の能力と実効性、さらにはASEANの国際社会における立場にも大きく影響を及ぼすからである。この最後の点については、ASEANの将来はミャンマーで決まってしまうという主張もある。地域機構としてのASEANの組織原理は内政不干渉、コンセンサスによる意思決定を掲げているが、ことミャンマーに関わる「問題」についてはこれらの諸原則が金科玉条のごとく守られているとは言い難い。内政不干渉ではない、「建設的関与(constructive engagement)」をミャンマーに対して実践してきたASEANがこのクーデター後の事態にどのように対応できるのか、本稿ではクーデターの収束の目処のつかない執筆時でこの地域機構の課題と問題点について考察を行う。 次に2月1日クーデターの「導線」をNLD政権と国軍との二重権力構造から派生する権力闘争として捉えて考察する。報告の中心的なところは、ASEANとして加盟国が共同歩調を採れない背景と、ASEANとしての対応を建設的関与から「無責任な介入」への転換として分析する。この転換点は4月24日ジャカルタで開催されたミャンマー事態に関するASEAN緊急サミットでの軍部への関与の方法とASEAN指導者とミンアウンフライン(Min Aung Hlaing)国軍最高司令官との間で妥結した「5点のコンセンサス」の実行をめぐるASEANの関与の混乱である。最後に依然クーデターの収束が見通せないなかで、市民的不服従を続けている市井のアクターとこれを支援する地域的、国際的諸団体(非国家的行為主体も含まれる)、ASEANとのこれまで関与からいくつかのシナリオを挙げてこのクーデターの終着点について考察する。

本研究会は、科研基盤B「脱領域化する国際規範・制度と国民国家の反動に関する研究ー北部ラカイン州危機の事例」(代表:中西嘉宏)との共催で実施いたします。