地域研究コンソーシアム(JCAS)第1回「コロナとつきあう――ウィズ・コロナ期の地域研究」 | 京都大学 東南アジア地域研究研究所

EVENTS

地域研究コンソーシアム(JCAS)第1回「コロナとつきあう――ウィズ・コロナ期の地域研究」

地域研究コンソーシアム(JCAS) 「地域の総合知」シンポジウム
第1回「コロナとつきあう――ウィズ・コロナ期の地域研究」

日時: 2022年8月10日(水) 13:30-14:30
※最大延長3 時まで
場所: オンライン開催
ウェビナーの登録URL: https://bit.ly/3Ouim8W
動画公開URL: https://bit.ly/3bm4kYE

司会:
岡田泰平(JCAS運営委員長/東京大学)
パネリスト:
日下部尚徳
「コロナ禍のバングラデシュで見えたもの、見えなかったもの―貧困、児童労働、難民の視点から」
二重作和代
「若手研究者がコロナ禍の功罪を振り返る―with/afterコロナにむけて」
中村安秀
「少数派が未来を創造する―風待ち湊で見つけた、わたしたちの地球」

開催方法:
このシンポジウムはレクチャー動画の事前視聴とオンラインのディスカッションによって行います。
7月28日に3人のパネリストによるレクチャー動画を公開します。シンポジウムには動画を視聴の上でご参加ください。
パネリストへのコメント・質問は事前にjcas[at]cseas.kyoto-u.ac.jp あてにメールでお送りいただくか、ディスカッションの際にお寄せください。
8月10日のディスカッションの記録動画は、1週間限定で見逃し配信を行います。

趣旨:
2020年の1月にコロナ・ウイルスの流行が中国武漢で生じると、たちまち全世界に広がりました。それ以降、今日に至るまで、変異株が発生しつづけ、何回も流行が来て、結局コロナ禍が鎮静することはありませんでした。他方、中国などの一部の国を除くと、いわゆるウィズ・コロナの方針が取られており、国境を越えた移動も徐々に復活してきています。この先どうなるのかは予断を許しませんが、本シンポジウムでは、地域研究という視点に基づき、現時点からコロナ禍の意味を考えていきたいと思います。
コロナ禍は、少なくとも以下の三つの側面で、地域研究という学知に新たな課題を与えています。第一には、コロナ禍は、ほぼ2年間、研究対象の地域に行き調査をすることを不可能にしてきました。より肯定的な側面としては、オンラインの会合が常態化し、既存の境界を越え様々な「つながり」を可能にしてきました。このような新たな研究環境のなかで、どのように地域研究を行うことができるのでしょうか。また、社会連携が地域研究においては極めて重要ですが、コロナ禍の中ではどのような社会連携が可能なのでしょうか。第二に、コロナ禍そのものが、病や衛生の歴史など、特定の研究領域の活性化をも生みだしているように見受けられます。特に自然環境と人の生活圏の接点を考察の対象としてきた、地域研究が果たせる役割には大きいものがあります。地域研究に関連する新たな研究領域としてどのようなものが想定され、どのような研究方法があり得るでしょうか。第三には、コロナ禍は病理学的な現象であると共に、極めて社会的な現象です。一方では、国家ごとに、コロナ・ウイルスへの対応は大きく異なってきました。結局のところ、コロナ禍については、普遍的に正しい政策というのはないように思われます。他方では、それまでの習慣や社会環境などにより、人々のコロナ禍に対する対応は極めて多様です。つまり、コロナ禍という共通性は、地球社会の多様性を浮き彫りにしたと言え、この点から各社会間の比較を可能にします。それぞれの社会におけるコロナ禍の様相とその対応をつぶさに観察する地域研究こそが、このような比較を可能にする下からの知見を提供する学知であるとも言えるでしょう。
本シンポジウムでは、このような三つの側面から、第一には地域研究者として何ができるのか、第二にはコロナ禍に関連してどのような地域研究が構想できるのかについて、ディスカッションを行います。オンラインでのレクチャーをあらかじめご視聴の上、奮ってご参加ください。

登壇者紹介:
岡田泰平(東京大学総合文化研究科教授)
一橋大学言語社会研究科修了。東南アジア近現代史、とりわけフィリピンを対象としている。植民地研究、アジア・太平洋戦争研究。2020年から地域研究コンソーシアム運営委員長。

日下部尚徳(立教大学異文化コミュニケーション学部准教授)
東京外国語大学准教授を経て2020年4月より現職。専門は南アジア地域研究、開発社会学、国際協力論。バングラデシュを主なフィールドとして貧困、災害、難民、紛争、イスラーム、市民社会、民主化などを複合的に扱ったテーマで調査研究を行う。NGOやJICA、UN機関などの国際援助機関と地域研究者の社会連携にも関心を有する。

二重作和代(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士一貫課程)
慶應義塾大学環境情報学部卒業。2018年より京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士一貫課程に在学。専門は東南アジア地域研究。現在はインドネシアのバンカ・ブリトゥン州をフィールドに、地方社会における同胞意識、地域文化再考について研究を行う。

中村安秀(公益社団法人日本WHO協会理事長)
1977年東京大学医学部卒業。小児科医。JICA専門家(インドネシア)、UNHCR(アフガニスタン難民医療)など国際協力の現場で活動し、母子手帳の普及などに努める。ジャパン・プラットフォーム、NPO法人HNADS、国際ボランティア学会として、地域研究コンソーシアムの活動に参加。

主催
地域研究コンソーシアム
共催
公益社団法人日本WHO協会
東南アジア地域研究若手研究者の会(AYSA)
京都大学東南アジア地域研究研究所