2022年12月初めのカスティジョ大統領(当時)によるクーデタ未遂事件とその罷免を受けて、憲法規定に則り副大統領のD. ボルアルテが大統領代行に就いた。しかし、地方、特にアンデス高地南部を中心に、近代化や経済成長の恩恵から取り残されてきた地域から、新政権は1990年代以来の新自由主義路線を基軸とする既存政治の継続であるとして批判と反発が起き、2ヶ月ほどにわたりボルアルテ政権に反対する抗議活動が活発化し、治安部隊との衝突により60名以上の死者が出る事態にまで至った。ただその抗議活動も、2月に入ると勢いを失い、自然災害の影響もあり、3月以降は終息した状態にある。とはいえ、抗議活動の原因となった諸課題はボルアルテ政権によって取り組まれてきてはおらず、地方の不満は解消どころか和らぐ傾向すらみられない。
このセミナーは、1月に実施した前回のセミナー以降の動向を中心に、反政府抗議活動の高揚から自然消滅までの過程を振り返りペルー政治の現状を分析したうえで、次の大統領・国会議員選挙にむけた動きをふくめ今後の展開について考える。とりわけ、現地ではあまり強調されることがないものの、主要なアクターの活動を条件づけている構造問題に重きをおく。
日時: 6月24日(土) 10:00-12:00(zoom開催)
テーマ: 「嵐の前の静けさ?─反政府抗議活動の自然消滅とボルアルテ政権の今後」
報告・討論:村上勇介(京都大学)、中沢知史(立命館大学)
参加を希望される方は、下記連絡先までメールで参加の申し込みをしてください。送付する際に、アドレスの [at] はアットマークに代えてください。後日、Zoomへの招待を送付します。
連絡先:asiapacific[at]cseas.kyoto-u.ac.jp
主催:京都大学東南アジア地域研究研究所アジア環太平洋研究ユニット/基盤研究「低成長期中南米の政党システム変動の比較分析(課題番号 21H04392)