2023年3月に刊行された『現代フィリピンの地殻変動:新自由主義の深化・政治制度の近代化・親密性の歪み』(原民樹・西尾善太・白石奈津子・日下渉編著、花伝社)の合評会が下記の通り開催されます。皆様のご参加をお待ちしております。
書籍情報:
https://kyoto.cseas.kyoto-u.ac.jp/publication/shifts-in-contemporary-philippines/
プログラム:
14:00−14:10 趣旨説明:
西尾善太(立命館大学大学院先端総合学術研究科)
14:10−15:10 「縦と横/歴史性と空間的広がりから考える
地域の今に対する応答」
コメンテーター:
町北朋洋(京都大学東南アジア地域研究研究所)
大橋成子(ピープルズ・プラン研究所、APLA理事)
15:20−15:45 総合討論
15:45−16:30 フリートーク
趣旨説明:
現代フィリピン社会は、急激な経済成長や社会福祉の充実といった人々の生活水準が向上していくようにみえる一方、貧富の格差は依然として消えず麻薬戦争などの不正義も存在するトラブルのなかにある。本書では、このトラブルについて公共圏における制度のフォーマル化と親密圏における労働や親族関係の変容という2つの軸から取り組んだ。12名の著者が描いたのは、フィリピン社会と新自由主義やグローバリゼーションとが取り結ぶ関係性の各々のフィールドにおけるその現れ方であった。いわば、本書は「2010年代のフィリピンとは?」という問いに対する若手研究者からの応答の試みである。
フィリピンを多様な面から描き出した本書は、著者にとっても「地域」という言葉の深みをいま一度考える重要性を気づかせる経験でもあった。この合評会では、フィリピンという地域とがっぷり四つに組んでこられた活動家である大橋成子さん、東南アジア地域の経済と人びとの働き方を研究されてきた町北朋洋さんをお呼びします。お二人の経験や知見からの本書へのコメントをいただき、アカデミアという枠を越えて本書が持っている可能性とその限界を考え、これからも変化し続ける地域に関わり方、またそのなかでのどういった応答を続けていくことができるのかを考える場となれば幸いです。
お問い合わせ:
西尾善太(立命館大学 zenta.nishio [at] gmail.com)