2024年度さくら招へいプログラム(科学技術体験コース)研修・見学 | 京都大学 東南アジア地域研究研究所

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2024年度さくら招へいプログラム(科学技術体験コース)研修・見学

テーマ:

多言語デジタルアーカイブとメモリーグラフを利用した記録・記憶・景観の継承と共有:大規模自然災害被災地における災害の記憶を語り継ぐ学術情報基盤環境の構築と支援

プログラム概要:

2004年のインド洋大津波で被害を被ったインドネシア・アチェ州の図書館・文書館・博物館・大学から資料学・情報学の研究者や技術者8名を招へいし、災害関連資料のデジタルアーカイブ構築・発信の情報基盤環境スキームについての実習および視察を行います。

本研究所で運用する多言語資料の収集・運用方法やデジタルアーカイブについて、また国立情報学研究所で開発されたメモリーグラフの技術と運用方法を習得し、自国にて実践応用してもらうこと、さらに今後の共同研究に向けた交流をはかることを目的としています。

具体的には、①防災の国際化が進む現代における多言語デジタルアーカイブの役割、②メモリーグラフを用いた景観(画像史料)の記録・アーカイブ化の重要性を共有したうえで、これを実現するための技術と運用例を習得してもらうとともに、双方の取り組みと課題を紹介し合い、情報の共有・交換を行います。また、③本プログラムで習得した技術を用いて、帰国後の11月5日(世界津波の日)、12月11日に、アチェ津波被災20周年関連イベントとしてアチェでメモリーグラフを活用した一般参加型の景観記録イベントを実施することにより、本交流計画の成果の定着をはかります。

本交流計画は、2004年スマトラ沖地震津波災害デジタルアーカイブの開発を進めてきた京都大学地域研究統合情報センター(災害対応の地域研究プロジェクト)が2014年に実施したさくらサイエンスプログラムと、東南アジア地域研究研究所が実施してきた東南アジアの図書館を対象に行ってきたさくらサイエンスプログラムの双方の経験を踏まえて、津波被災から20年目を迎えるアチェ州の機関を対象に実施するもので、以下の内容を予定しています。

参加機関:

シアクアラ大学津波防災研究センター/大学院防災学研究科
インドネシア国立公文書館津波アーカイブセンター
アチェ州州立図書館
アチェ津波博物館

講義および報告:

・多言語資料の収集・保全・運用について(土佐美菜実)
・アチェ津波関連電子化資料の収集・保全・管理・運用状況について(山本博之)
・多言語データベースの実践ならびにグーグルを利用した小規模デジタルアーカイブの構築について(木谷公哉)
・アチェ津波メモリーグラフ参照画像収集状況報告(参加機関)
・報告会(司会:西芳実)

見学訪問:

京都大学附属図書館
京都市民防災センター
人と防災未来センター
国立国会図書館関西館
京都大学東南アジア地域研研究所図書室

実習:

アチェ津波メモリーグラフの作成と開発

プログラムの模様はアチェ津波博物館、インドネシア国立公文書館津波アーカイブセンター公式サイトやアチェの地元新聞『スランビ・インドネシア』、インドネシア国営ラジオ局、オンラインニュースサイト等で詳しく報じられました。

また、本プログラムの参加機関代表団を率いたリザンナ・ローズマリー博士による参加報告が『スランビ・インドネシア』紙に掲載されました。

プログラム最終日の25日には、プログラム参加者に、三重野文晴所長よりプログラム修了証明書の授与が行われました。