日時: 9月17日(火)ー18日(水)
場所: ベトナム ハノイ
The Institute of Social Sciences Information'(ISSI), Vietnam Academy of Social Sciences (VASS)
プログラム:
Day 1 (9/17)
・Symposium
Towards Sharing the Information Resources of Area Studies for Southeast Asia
・Workshop 1
Bibliographical Control and Meta Data Construction specified MARC21
Day 2 (9/18)
・Workshop 2
Operation and Use of MARC21 Database and its Security Guideline
・Workshop 3
Material Preservation and Construction of Digital Archives
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報告: シンポジウム&ワークショップ「東南アジア地域研究情報資源の共有化をめざして」
東南アジア地域研究研究所は、2019年9月17-18日にベトナム社会科学アカデミー傘下の社会科学情報院(Institute of Social Science Information/ISSI)との共催により、学術情報基盤構築に係る国際シンポジウム&ワークショップを開催いたしました。
本イベントは、2016年2月に東南地域研で開催した「東南アジア地域研究情報資源の共有をめざして」の第2回目に当たります。第1回目は、ミャンマー、タイ、ベトナム、ラオス、カンボジア、日本の大学・研究機関図書館から100名以上が参加しました。今回は、2018年11月に東南地域研がISSIとの間に部局間学術交流協定を締結したことを契機とし、特にベトナム、ラオス、カンボジアのいわゆるインドシナ3国を特に対象に、東南アジア諸国資料の資料情報及び資料の共有化を検討する目的で開催しました。
主な参加機関は次のとおりです。
[日本]京都大学東南アジア地域研究研究所図書室、同附属図書館利用支援課、東京大学経済学図書館・経済学部資料室、国立国会図書館関西館アジア情報課
[ベトナム]ベトナム社会科学アカデミー傘下の33研究機関図書館、ハノイ国家大学図書館
[ラオス]ラオス国立図書館、ラオス国立大学中央図書館
[カンボジア]カンボジア国立図書館、王立プノンペン大学フン・セン図書館
また、ベトナム文化通信省図書館担当、ベトナム図書館協会会長、その他省庁・社会団体各代表の参加をみるなど、参加者数は、シンポジウムで120名以上、3つのワークショップにはそれぞれ約70名、2日間の延べ人数は300人以上、4カ国45機関・組織に及びました。
初日午前のシンポジウムでは、各国の国立図書館(national library)による各国図書館事情のジェネラル・レポートと、これに対する大学・研究機関図書館側(academic library)からコメント及び補足説明が行われました(日本からは、national libraryとして国立国会図書館関西館アジア情報課がジェネラル・レポートを、academic libraryとして本学附属図書館がコメント及び補足説明を行いました)。
初日午後から2日目には、資料情報整備のための書誌コントロール、図書館データベース構築、資料保存の3つの実践型ワークショップを実施し、さらに総括に代えて3つのワークショップへの参加者からのフィードバック及び図書館スタッフ間の情報交換会を行いました。
今回の企画に至る背景として、「東南アジア逐次刊行物データベース」開発プロジェクトがあります。本研究所は、2006年から国内アジア研究拠点図書館との協力で始まった「東南アジア逐次刊行物資料共有化プロジェクト」を主導し、当初は、図書館の蔵書構築のためのコアジャーナル選定ツールとするべく、このデータベース開発に取り組んできましたが、2013年よりその方向性を大きく変え、単に日本国内図書館内で利用するツールではなく、東南アジア諸国に散在する新聞・雑誌といった逐次刊行物を一望することで各国の研究者が資料にアクセスでき、データベースに収録されている資料情報(書誌情報・所蔵情報)というメタデータそのものを研究資源とみなし東南アジア地域社会の出版思潮を分析する国際的な地域研究ツールとしての使用に耐えうるよう、アップデートを進めてきました。
また、このデータベースに収録された資料情報を利用して、資料情報の共有だけでなく、資料自体を国際的に共有できるシステムの構築にも取り組んでいます。具体的には、ISSIが管轄する図書館と東南研図書室の間で、新聞・雑誌などの逐次刊行物について、E-DDS(Electronic Document Delivery System)、すなわち双方の所蔵する資料を相互で利用し、デジタル媒体による資料複写相互利用による資料共有が可能となるシステムを計画しています。
この資料共有プラットフォームを長期持続的に稼働させるために、現在、ベトナムにおける社会科学研究機関のアンブレラ組織であるベトナム社会科学アカデミー(VASS)に協力を仰いでおり、本学との大学間MOU締結にむけた作業に着手しています。今回イベントの共催機関となった社会科学通信院は、同アカデミー傘下の33研究機関の一つで、他にも首都ハノイに所在する民族学博物館やハンノム研究所、南部・中部・山地部に所在する社会科学系の大学院や研究所がこのアカデミーに所属しています。本学とVASSとは、東南研-ISSI間のMOUのほかに、南部社会科学院・社会学院との間に2つの部局間MOUが締結されており、大学院に留学生を送り込んでいる実績があります。
本学のとりわけ人文社会科学研究の国際共同研究推進のために、ぜひ大学間MOUを締結するためのご理解をいただきたいと思っております。
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このシンポジウムは、「平成31(令和元年)度本学総長裁量経費」、および科研費基盤研究B「逐次刊行物データベースを利用したインドシナ3国出版思潮の研究(17H01834、代表:大野美紀子)」、挑戦的萌芽研究「日本の洋式製本の技術伝播に関する歴史的研究 : 洋装本資料保存のための基盤整備(16K12543、代表:森脇優紀)」の助成により開催されました。