教員の著作が刊行されましたKosuke Mizuno, Osamu Kozan, and Haris Gunawan (eds), Vulnerability and Transformation of Indonesian Peatlands (Springer Singapore) | 京都大学 東南アジア地域研究研究所

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教員の著作が刊行されました
Kosuke Mizuno, Osamu Kozan, and Haris Gunawan (eds), Vulnerability and Transformation of Indonesian Peatlands (Springer Singapore)

2023.05.12

共編者からの紹介

本書は、総合地球環境学研究所実践プロジェクト「熱帯泥炭地域社会再生に向けた国際的研究ハブの構築と未来可能性への地域将来像の提案」の成果本全4巻の第1巻にあたります。2009年以降13年間関わってきたインドネシアの泥炭地生態系とその社会との関係を、脆弱性、回復力、適応力という概念を用いて理解し、再修復するための統合的アプローチを紹介しています。

泥炭湿地林には回復力があると考え、そのメカニズムを生態的・社会学的に考えます。一方、泥炭湿地林は、大規模なプランテーションなど排水を伴う開発には脆弱であり、その再生には科学的な知識が不可欠です。現在の泥炭地の危機的状況において、過去の教訓から学び、さらに泥炭湿地林の生態学的、生物学的、土壌学的な学術成果、火災を制御するための人々の努力、新しいパルディカルチャー(湿地環境下農業)の試みなどで得られた知識の再構築が、劣化泥炭地の回復と生態系を維持するために必要です。

本書では、前半部では泥炭地開発で失われつつある生態系や、土地所有が曖昧であることで生じる泥炭地社会の脆弱性を報告しています。後半部では現在地域住民と行っている様々な泥炭地修復活動や、社会実装を見据えた学術研究を紹介することで、今日の劣化した泥炭地における回復力、適応力、変容の可能性を示しています。(水野広祐・甲山治)

目次等、詳細情報は教員の出版物ページをご覧ください。