共編者からの紹介
21世紀に入ってから四半世紀が過ぎようとする日本では、都市化や過疎化、人口減少による移住外国人労働者の増加、高齢化がさらに進んだ将来のコミュニティの形など、様々な話題のなかで地域という対象が注目を集めています。新聞やテレビ、インターネットの空間で、その言葉をみかけない日はないでしょう。地域とは、ふだん何気なく使いながら、良く考えてみると本当の意味が曖昧で、しかし実体としての存在感がある、不思議な言葉です。
本書は、地域についての、様々な学術的・学際的・超学際的な取り組みを紹介するエッセイとコラムを集めたものです。執筆者の大多数は地理学を修めた研究者で、日本国内の事例にもとづいて話題を展開しています。
本研究所で地域研究というと、海外での調査にもとづく議論が中心です。海外での研究に関心をもつ読者の方々には、本書を通じて日本の社会と国内の学術の場で、いま地域という言葉がどう使われ、どのような関心を呼んでいるのかを知ることで、新鮮な読後感を手にしていただきたいと思います。それが、改めて自分自身の地域研究について考えるきっかけにつながれば、共編者のひとりとして、たいへん嬉しいです。(小林 知)
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