目次
序章 越境者の生をめぐる動態とミクロヒストリーの視角(王柳蘭・山田孝子)
はじめに
1 問題の所在──越境者へのミクロヒストリーの視座
2 本書のミクロヒストリーへの人類学的視座
3 本書の構成
おわりに
第1部 故郷と帰属をめぐる重層性
第1章 日本の越僑(Việt Kiều)二世世代の「帰還」経験
──2010年代を日本とベトナムで生きること(瀬戸徐映里奈)
はじめに
1 本国へ「帰還」する越僑たち
2 越僑二世世代の若者たち
3 本国「帰還」前後のベトナムへの眼差し──父母の故郷としてのベトナム
4 親類たちとの関わりとベトナム社会からの眼差し
5 在越「日本人」社会と越橋からの眼差し──日越の狭間で
おわりに
第2章 故郷を見出す
──南スーダン共和国ジュバとハルツームからの帰還民(飛内悠子)
はじめに
1 ハルツームからジュバへの帰還
2 ジュバでの生活──ノア一家の事例から
3 差異のぶつかり合う場所──マリアの経験から
おわりに
第3章 亡命チベット人にみる帰属意識の複相性と生活戦略(山田孝子)
はじめに
1 チベット難民の現状
2 学校教育の導入・整備と包括的帰属意識の形成
3 キャンプから居留地、欧米への再定住と帰属意識の動態
おわりに──亡命チベット人の帰属意識の複相性と生活戦略
第2部 せめぎあう空間──ホストと越境者が生み出す社会的結合と差異
第4章 紛争による人の移動が作り出した地域社会におけるつながりと差異
──ウガンダの難民居住地における難民と移民のミクロヒストリー(村橋 勲)
はじめに
1 北東・東アフリカとウガンダにおける人口移動と難民政策
2 難民居住地とその周辺地域における多民族性
3 南スーダン難民とウガンダ人の社会経済的つながり
4 難民居住地におけるエスニック共同体の形成
おわりに
第5章 境界の可視性と不可視性
──マレーシアにおけるインドネシア人労働者の現地化のミクロヒストリー(加藤裕美)
はじめに
1 マレーシアにおけるインドネシア人労働者の増加
2 移住者を受け入れるブラガの地域史
3 移住者との共住空間の歴史的な形成
4 境界の可視性と不可視性
おわりに
第6章 ミクロヒストリーを通じて考える対立の記憶
──ベトナム南部メコンデルタ多民族混淆社会の経験と場をめぐる歴史語り(下條尚志)
はじめに
1 民族とナショナルヒストリー
2 多民族混淆社会の歴史経験を読み解く
3 土地神をめぐる民族的な歴史語り
おわりに
第3部 個をめぐる生の物語と共生への模索
第7章 樺太日本人慰霊碑はなぜ建立できたのか
──日ソ戦後サハリンにおける樺太旧住民慰霊碑等建立のミクロヒストリー(中山大将)
はじめに
1 歴史的背景
2 ソ連/ロシア戦争記念碑と引揚者の被害言説
3 日ソ戦関連碑
4 朝鮮人・先住民族慰霊碑
5 墓参碑
6 旧住民碑民間型
7 旧住民碑行政型
おわりに
第8章 海を渡った一族──沖縄の座間味島をめぐる移動史(藤本透子)
はじめに
1 沖縄の座間味島とその歴史的背景
2 中国の福建から沖縄島を経て座間味島へ──伝承と家譜
3 座間味島の「唐船乗り」──中国航路の船員として
4 カツオ漁業と南洋への展開──漁師とその息子たち
5 戦前の本州への移住──新たな知識と職を求めて
6 戦時中から「本土復帰」後にかけて──徴兵と引揚げ、新たな移住、そして故郷訪問
おわりに
第9章 越境経験の物語と自己意識
──タイ・ビルマ国境域における雲南系ムスリム・パンロン人を事例に(王柳蘭)
はじめに
1 物語化される移住史──系譜意識と開拓者たち
2 パンロンの伝承にみる首領たち
3 首領たちを通した民族間関係とまとまり
4 パンロン村の消滅とその後
おわりに──ディアスポラの物語が問いかけるもの
あとがき
編著者紹介
索引