IPCR「中国と東南アジアにおける政治経済的変容と女性の移動」第5回研究会 | 京都大学 東南アジア地域研究研究所

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IPCR「中国と東南アジアにおける政治経済的変容と女性の移動」第5回研究会

京都大学東南アジア地域研究研究所・共同研究会(IPCR)「中国と東南アジアにおける政治経済的変容と女性の移動」の第5回研究会を開催します。
どなたでも自由に参加できるオープンな研究会です。事前の手続きは必要ありません。ぜひお気軽にご参加ください。

日時: 2020年1月24日(金)13:30~16:30
会場: 京都大学東南アジア地域研究研究所・稲盛財団記念館201号室(東南亭)
https://kyoto.cseas.kyoto-u.ac.jp/

プログラム:
13:30~15:00
櫻田涼子(育英短期大学)
「選択肢のはざまで揺らぐ決心―マレー半島における華人女性の移動と都鄙関係」

15:00~16:30
小島敬裕(津田塾大学)
「国民党軍の『眷属』としての少数民族女性―雲南から台湾への移動と生活の再構築」

報告要旨:
櫻田涼子
「選択肢のはざまで揺らぐ決心―マレー半島における華人女性の移動と都鄙関係」

現代マレーシアを生きる華人女性の多くは高い教育を受け、他民族集団と比較するとより高い割合でフォーマル・セクターでの賃金労働に従事している傾向にある。特に就労環境が限定的な非都市部においては、女性の多くが子どもを故郷に残し、都市で働く生活を選択する者が少なくない。このような親世代が都市で賃金労働に従事する家庭では、子どもの養育は、故郷に暮らす父方祖父母や父方オバや、母方祖父母、「阿媽」と呼ばれるナーシング・マザーなどの協力を得て行う場合が多い。
本報告では、これまで調査を実施してきた都市と非都市部を往還的に移動する女性たちの事例をいくつか紹介し、移動によって生活と家が維持される様子や都鄙関係について検討したい。また、就労し金を稼ぐことと家族を持ち子を育てることの両立は、女性たちに複数の役割のはざまで迷いや葛藤といった感情を生じさせるという。この揺らぐ感情にも焦点をあて、マレーシア華人の家族の在り方について考察する。

小島敬裕
「国民党軍の『眷属』としての少数民族女性―雲南から台湾への移動と生活の再構築」

国共内戦後の1950年代から1960年代にかけて、中国雲南省からミャンマー、さらにタイを経て台湾へと国民党の軍人はその眷属らとともに撤退し、移住後に「眷村」を形成した。近年、台湾では国民党軍の戦闘の経緯に関する記録が出版された他、雲南「眷村」における文化の持続と変容に関する研究や、雲南からミャンマーへの移住者のライフヒストリーを扱った研究も現れている。一方、国民党軍の「眷属」として台湾に移動した女性には、雲南出身の少数民族が数多く含まれるにもかかわらず、彼女たちの人生には十分に焦点が当てられてこなかった。そこで本発表では、2018年と2019年に台湾の雲南「眷村」で実施した調査に基づき、少数民族女性たちの国民党軍兵士との結婚、および台湾への移住の経緯、さらに移住後の新たな生活構築に果たした女性の役割について明らかにする。

連絡先:
Wakana Sato, Niigata University of International and Information Studies
(wsato[at] nuis.ac.jp)

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