使用言語:英語
本書の概要:Unrequited Love: Duterte’s China Embrace(『報われぬ愛:ドゥテルテの中国への傾倒』)は、ロドリゴ・ドゥテルテ前フィリピン大統領が中国に傾倒していった経緯、彼に影響を与えた要因、インフラ向け2国間融資や援助、未履行の公約を取り上げている。中国がどのように軍、政党、メディアや国民に影響を及ぼそうとしたか、その試みをまとめ、政策転換が法の支配や西フィリピン海(南シナ海)問題など様々な局面に与えた影響について考察している。文献調査と現地取材に基づき、ドゥテルテの中国への愛着のルーツから、対中関係の緊張の要因となった領海問題、主要な政府機関による反発を辿ってゆく。
発表者:マリテス・ダンギラン・ヴィトゥグ(Marites Dañguilan Vitug)
フィリピンのジャーナリスト、作家。オンラインニュースサイト「ラップラー(Rappler)」編集委員。『ニュースブレイク』誌元編集者。これまでに9冊の著作があり、最新作はカミーユ・エレミア氏との共著Unrequited Love: Duterte’s China Embrace。他にRock Solid: How the Philippines Won its Maritime Case Against China、フィリピン最高裁判所の暗部を追及したShadow of Doubt: Probing the Supreme Court、Power from the Forest: The Politics of Loggingなどがある。また、Maritime Issues and Regional Order in the Indo-Pacific(Palgrave/Macmillan, 2021)、およびThe Politics of Environment in Southeast Asia(Routledge, 1998)を分担執筆している。フィリピン大学で放送コミュニケーション学学士号、LSE世界政治プログラム修了。ハーバード大学ニーマン・フェロー、カリフォルニア州サンディエゴ大学太平洋リーダーシップ・フェロー、ロックフェラー財団ライティング・フェロー(イタリアコモ湖畔ベラージオセンター)、アジア・リーダーシップ・フェロー(東京・国際文化会館)、オーストラリア国立大学、京都大学、政策研究大学院大学客員研究員などを歴任。フィリピンの司法、安全保障、政治に関する報道で全比図書賞ほか多くの賞を受賞、米国に拠点を置く国際女性メディア財団からCourage in Journalism Awardを受賞。
討論者:高木佑輔
政策研究大学院大学(GRIPS)准教授。デラサール大学国際学研究科助教授、在フィリピン日本大使館専門調査員等を経て現職。法学博士(慶應義塾大学)。東南アジアおよび新興国の政治に関する授業と論文指導を担当。主著にCentral Banking as State Building: Policymakers and Their Nationalism in the Philippines, 1933-1964, Ateneo de Manila University Press, NUS Press, and Kyoto University Press, 2016(第34回大平正芳記念賞、第36回全比図書賞最終選考作品)ほか多数。
司会:ジュリー・デロスレイエス(Julie de los Reyes)特定助教